ぐるっと流山 子どもの貧困とジェンダー平等 子ども食堂と子どもの貧困から考えるジェンダーの課題

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ページ番号1052329  更新日 令和7年12月26日

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講師の杉田真衣さん

 令和7年12月13日(土曜日)、生涯学習センター(流山エルズ)で「子どもの貧困とジェンダー平等 子ども食堂と子どもの貧困から考えるジェンダーの課題」が開催されました。講師には、東京都立大学人文社会学部人間社会学科准教授の杉田真衣さんをお招きし、27名の市民が参加しました。
 講座では、初めに日本の貧困を考える上で重要なトピックとして、1990年代後半のバブル崩壊に伴う新卒求人数の減少と、非正規雇用労働者の増加を紹介しました。1985年~2025年の非正規雇用者は男性全体の19.8%に対し、女性全体では50.8%を占めており、男女差が可視化されました。その背景には、産業構造や雇用政策の転換があると講師は説明しました。
 2010年代に入り、若年単身女性の貧困が注目され始め、コロナ禍では女性の雇用・生活状況の悪化に伴い、DV被害相談の増加、10代の妊娠相談の増加、そして女性の自殺者数の増加が明らかになりました。こうした困難な状況を受け、2024年4月には「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行され、今後さらに社会的関心が高まることが期待されています。
 

グラフを用いた講座の様子

 続いて講師は、2003年春に高校を卒業した4人の女性を30歳になるまで追跡調査した結果について語りました。そのうちの一人はインタビューで「長生きはしたくない」と話していたそうです。彼女たちは高校生の頃から労働で家計を支え、進路選択にも経済的な制約を大きく受けていました。高校卒業後の雇用状況はアルバイトが多く、希望通りのシフトに入れず収入が不安定であることも明らかになりました。彼女たちが40代を迎えた現在も状況は大きく変わらず、むしろ悪化しているケースもありました。正社員として働き続けている1人も、給与が上がらず、初任給とほぼ変わらない水準にとどまっているとのことです。東京都内の特別区で暮らす若年女性を対象とした別の調査では、「安楽死」という言葉を口にした女性が3人いたそうです。さらに、「悩みがあっても誰にも相談できない」と答えた人も多く、苦しみを抱えながらも相談相手がいない現状が浮かび上がりました。
 先に挙げた4人のうちの1人に、今年10月に再度インタビューを行ったところ、「やっぱり死にたいが目標」と語ったそうです。この発言からも、東京で暮らす若年女性たちの困難な状況が、中高年女性の貧困問題へとつながっていることが分かります。現在求められているのは、雇用状況の改善や社会保障の拡充、公営住宅の整備や家賃補助等、どのような雇用形態でも安定して生活できる基盤を整えることだと講師は話されました。
 

後ろから見た講座の様子

 また、学校教育においては、性教育はもちろん、働くうえ上でのルールや支援制度の種類、消費者金融や自炊についてなど、実生活に役立つ知識を伝えることが大切だと述べられました。「自分で選んだことだからといって、その責任をすべて負う必要はない。安心して失敗でき、何度でもやり直せる社会をつくることが求められている」との言葉が印象的でした。
 参加者からは、「70代くらいで安楽死の言葉が出るのは理解できるが、10代の若い人から出るのは衝撃だった」との感想が寄せられました。アンケートでも、「実際の声を聞いて驚いた。自分には何ができるのか考えていきたい」「貧困から抜け出せない社会の厳しさを感じた」「統計ではなく、一人ひとりのストーリーを聞いたことが心に刺さった」など、若年女性のリアルな声が印象に残る講座となりました。
 

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