提言書
平成10年9月22日
流山市長眉山俊光様
流山市総合計画審議会 会長 渡辺俊一
流山市長期構想の策定にあたって(提言)
現流山市長期構想は、昭和60年3月に豊かで活力のある文化都市を将来都市像として制定され、計画期間は15年間とするものであり、平成12年3月をもって満了することになります。
このため、次期流山市長期構想の策定に係る審議を行うために、平成10年2月10日付けで、流山市総合計画審議会委員25名が委嘱されました。爾来、今日まで総合計画審議会を5回開催し、市内主要施設の視察をはじめ流山市の現状把握に努めるとともに、各地域毎に開催された地域別ワークショップを傍聴し、現状と課題、市民意識など基礎的知識の習得に努めてきました。
更に、流山市長期構想策定の方向性を提言すべく、総合計画審議会の下部機関である起草委員会を4回開催し、精力的に議論を重ね、流山市長期構想の策定にあたって(提言)の素案をまとめ、総合計画審議会に報告し、再度議論をしたうえで、次に記述する提言書としてまとめてきました。
この提言書は、今後の流山市長期構想の策定にあたり、その基礎的な指針となるものです。本提言書の趣旨を十分に理解され長期構想策定へ反映し、具現化されることを願うものであります。
基本的な考え方
流山市長期構想の策定に当たり、長期展望に立脚し、現状や社会的潮流を把握するとともに、市民意識の尊重、職員による手づくりを基本とし、市民参加はもとより市の広域的な特性、機能及び動向を十分把握した計画策定に努める必要がある。
(1)市民参加について
市民参加については、市民意識調査、子ども議会、女性会議、若者を対象にした未来会議、更に、市内の主要な公共施設に設置した「ご意見箱」等から得た意見要望を尊重し、長期構想への反映に努めるべきである。
特に、市内各地域で開催された地域別ワークショップで出された意見は、市民の皆さんの長期構想に期待する熱い願いであり、その地域の課題や地域の将来像が提言されている。これらの内容を十分長期構想への反映に努められたい。
更に今後は、市民参加型の生きた計画づくりが求められており、引き続きワークショップ形式を踏襲され、市民のための計画づくりに努力されたい。
(2)まちづくりの方向について
本市のまちづくりを考えたとき、住むことに配慮したまちづくり、商業、工業及び農業に力を入れた活気のあるまちづくり、機能を集約した形のまちづくり、機能を分散させた形のまちづくり、都市型の便利さを追求したまちづくり、多少の不便さは受容しながら住みやすさを追求したまちづくりと、多種多様な考え方ができそれぞれ一長一短がある。
しかしながら、そこで人が産まれ、教育を受け、働き、コミュニティを形成し、生涯学習で学び、福祉を享受し、生涯を終えるという、生活の営みのあるまちづくりが必要であり、このため種々検討し、まちづくりの方向性を決定されたい。
(3)環境について
環境問題について我が国では、急速な経済発展により国民生活は大きく向上した反面、大気や水質の汚染、森林、農地等の減少による温暖化、酸性雨、フロン類等によるオゾン層の破壊といった自然環境の問題や、私達が使用・排出する化学物質からのダイオキシン類の発生、生活排水による水質汚濁、大規模開発による緑の減少などが指摘されている。
本市が今後のまちづくりを進めるうえで、日々の生活に至るあらゆる面において環境負荷の軽減に向けた対応を図り、循環型社会の構築が必要である。
(4)少子高齢化について
我が国は急速に高齢化と少子化が進行しており、本市においても確実に少子高齢社会が到来する。
したがって、安心して出産ができ、子育てを社会的に支援し、また市民だれでもが生涯にわたって健康で、かつ、住み慣れたところで暮らせるようなシステムの構築をまちづくりにあたって考慮されたい。
(5)国際化について
国際化が進展する中、市内に居住する外国人の増加や、市民レベルでの文化交流など、地域の国際化も著しいものがあり、今後これらに対応したまちづくりや人づくりに努めることが重要である。
(6)地方分権について
国と地方の役割分担の明確化を図り、地域住民に身近な行政を展開するという権限・財源の委譲が、ますます進む中で、これらに対応した組織づくりや、人材の育成に配慮することが重要である。
(7)常磐新線沿線開発地域及び新川耕地将来像について
常磐新線沿線開発は、これからの流山市にとって重要な位置を占める一大事業であり、その開発によるまちづくりは、今後市の発展に大きな影響を与えるものと思料される。
また、常磐自動車道流山インターチェンジ付近の新川耕地は市内でも優良な農地であるが、昨今の社会情勢によりその土地利用が注目されている。
したがって、次期長期構想で常磐新線沿線開発地域及び新川耕地の将来像を明確にすることが必要である。
以下、流山市長期構想の策定に当たっての基本的方向について、提言する。
流山市の長期構想策定にあたって(提言)
1.長期構想の体系について
長期構想の体系及びその内容は以下のとおりと認識されたい。
長期構想は、基本構想、基本計画から構成される。
更に、基本構想、基本計画を具体的に実現させるための実施計画を定める必要がある。
基本構想、基本計画、実施計画を総括して総合計画という。
基本構想は、流山市の将来のあるべき姿・目標を示すものであり、この目標達成のための施策の方向性を明らかにし基本計画や、実施計画の基礎となるものであり、理念性についての言及をする。
基本計画は、基本構想に基づき、基本的施策の指標及び根幹的事業を具体的に示すものであり、実施計画の基本とすべき現状の基本認識・施策方向・具体的施策を記述し、総合化の枠組み及び調整規定を定める。
実施計画は、基本計画で定められた基本的施策の指標及び方向を具体化し詳細事項について補足し、毎年度の予算編成の指針となる役割をもち、基本構想基本計画に定める事業の具体的順位を決定し実効性を担保するものであり、予算と達成物及び達成度の対比の明確化を図る。
2.策定の基本的な方針
「特徴ある総合計画」をつくる。
流山市が誇りうる模範的な「特徴ある長期構想」とし、そのためにはシャ-プな時代感覚を盛り込みユニ-クな内容と形式とし、まちづくりには、市民が参加できうる仕掛けづくりを当初から計画に盛り込み、公民パ-トナ-シップの実現に努める。
計画体系は「ロ-リング方式」を前提とする。
計画は策定もさることながら見直しが大切である。定期的にワークショップ等の手法による市民参加型の徹底的なレビュ-(論評・批判)を行ない、21世紀にふさわしい自治体経営の哲学を構築されたい。
決めすぎない計画
計画の策定に当たっては、全ての施策の方向を決定するのではなく、場合によっては複数の代替案を示し、公開討論的な方式で決定していく方法も検討されたい。
形式にも工夫を
市民に何時でも手にして読まれるような、書式・様式・装丁に工夫が必要(市民版マンガ編)であり、Q&A方式、物語風、副読本、解説版(小中学生が判るもの)等を作成し、更にワークショップ等で議論された市民の声が入っているという跡を明確に残すことも必要である。
3.章立てについて
流山市長期構想(基本構想・基本計画)の章立てについては、次の事項を基本として構成されたい。
基本構想に盛り込まれるべき事項とその視点
- 趣旨は、計画のねらいや性格について記述する。
- 計画の構成と期間は、基本構想20年、基本計画10年(前期5年、後期5年)、実施計画3年(毎年ローリング)とし社会経済情勢の動向に応じて随時見直しを図るものとする。
- 基本理念は、流山市長期構想の考え方を示す。
- 流山市長期構想の全体像をまとめ、それを周知した後に流山市の将来像のキャッチコピ-を一定の制限、条件のもとで一般公募することも一考である。
- まちづくりのフレ-ムとしては、将来人口・産業・土地利用・コミュニティー・地域区分を基本とする。
- 地域別将来像を新たに加える。その場合の各地域の表現について参考までに記述すると、次のとおりである。
・北部地域「人と自然にやさしい心豊かに暮らせるまちづくりを目指して」
・中部地域「空が広く見えるまち」
・東部地域「美しいふるさとを後世まで伝えたい」
・南部地域「安心して暮らせる生活環境の確保」 - 基本的施策の指標について、基本構想では市民の生活レベルの視点で横割、横軸でとらえる。
・例えば、環境を活かした地球にやさしい街づくり(自然との共生)やノ-マライゼ-ションの理解の徹底と実践のあるまち(道路構造、公共施設、住宅建設)など。
基本計画に盛り込まれるべき事項とその視点
基本的施策の方向について、基本構想で市民の生活レベルの視点で捉え横割、横軸で構成したのを受けて、基本計画では行政レベルの視点に立ち、縦割、縦軸で捉えて施策を構成し縦横に推進する必要がある。
なお、基本計画において地域別将来像を具現化する中で、常磐新線沿線区域の魅力あるまちづくりの展開にあたっては、沿線地域のまちづくりの将来像を盛り込む必要がある。
前述の事柄と背景を十分に認識し、今後の長期構想の策定にあたられたい。
添付資料
- 総合計画審議会市内視察における意見
- 次期長期構想にかかる審議会及び市民の意見
4.付属資料
1.法律及び通達の規定
- 「基本構想」については、自治法第2条第5項(1969年新設)において「総合的かつ計画的な行政の運営を図るため」のものと定めている。
- 「基本構想」については、次官通達(1969年4月19日付)及び局長通達「基本構想の策定要領について」(1969年9月13日)が出されており、後者において基本構想の性格・指針・内容・期間・形式・策定手続改訂に関して要項が示されている。
- そのうち「基本構想の内容」に関して、「将来図」と「基本的施策の指標」を定めることが規定されている。
- 「将来図」は、住民の豊かな生活および地域社会の振興発展の目標であり、以下のような地域社会像として把握して表現することが定められている。
(1)地域社会経済の将来像(人口、産業等に関する指標を用いて)
(2)地域社会の構造(市街地、集落等の配置、交通通信体系、土地利用の構想等を定めることにより)
(3)住民生活の将来像(人間形成の面を含め、住民の生活水準ないし生活水準の目標を示すことにより) - 「基本的施策の指標」の内容としては、おおむね次のような事項が考えられている。
(1)地域社会の基礎的条件の整備に関する事項
(2)住民生活の安定向上、人間形成等に関する事項
(3)産業の振興に関する事項
(4)行財政の合理化に関する事項 - 「基本構想の期間」に関しては、一般的にはおおむね10年程度(条件つき)
- 「基本構想の形式」に関しては、原則として文言形式とする。
- 「基本構想の改訂」に関しては、「みだりに変更すべきものではないが、経営の基本たるにふさわしくない状態になった場合においてはすみやかに改訂すべきものであること」とされている。
2.「総合計画」の計画体系
- 計画体系に関して、慣例上、次のような構成になっている。
(1)基本構想
(2)基本計画
(3)実施計画(予算措置を伴う、3年間のローリング方式のものが多い) - このうち(1)と(2)を合わせたものを「(4)長期構想」、(1)と(2)と(3)を合わせたものを「(5)総合計画」とよんでいるが、(2)と(3)と(4)と(5)に関して、法律・通達は何も言及していない。
3.流山市「総合計画行政」の実態と問題
- 流山市の「総合計画行政」の実態は、「総合計画の連動性」に示すような計画体系となっている。特に注目されるのは、次の3点である。
(1)「基本構想」レベルに「流山ふるさと21計画」があり長期構想を補完する計画と位置づけられていること。
(2)「基本計画」レベルに「都市基本構想」など多数の個別計画が存し、その基本計画フレームが往々にして異なること。
(3)「実施計画」(3年間ローリング方式)と「基本計画」との間に「第3次総合5か年計画」(内容的には「基本計画」に相当する)が挿入されていること。 - 最近版の「流山市長期構想」(1985年)は、次の3部構成から成る。
(1)「基本構想」(28頁):基本構想(1984年9月21日議会議決)人口以外の具体的指標なし。
(2)「施策展開の方向」(90頁):「基本計画」に相当するが、その旨明記していない。
(3)「参考資料」(18頁) - 「流山市長期構想」を補足するものとして「流山『ふるさと21』計画:新線とアメニティタウン流山」(1987年3月)がある。
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