令和7年流山市議会第1回定例会
施政方針
本市の市政経営における基本的な考え方と所信の一端について申し上げます。
つくばエクスプレス開通から20年
平成17年8月のつくばエクスプレス開通から、本年で20年を迎えます。この間、本市は共働きの子育て世代をメインターゲットにマーケティング戦略を展開し、市の知名度と地域イメージの向上を図るとともに、仕事をしながら子育てもできる社会環境づくりを進めながら、定住人口と交流人口の増加策に注力してまいりました。
その結果、つくばエクスプレス沿線自治体の中でも、本市は特に子育て世代から選ばれるまちとなり、人口は顕著に増加いたしました。つくばエクスプレスが開通した約20年前と比較すると、総人口は約4割増加し、未就学児と小学生はそれぞれ約8割増加、中学生は約5割増加しました。
一方で、つくばエクスプレス沿線の土地区画整理事業は、現在整備が進められている運動公園周辺地区を除き概ね完了し、人口増加のペースは緩やかになってきていることから、将来にわたり人口の減りにくいまちづくりを進めることが一段と重要となってまいります。
そのためには、市の魅力をより高めるまちづくりを進め、ブランディングを一層推進していく必要があります。「都心から一番近い森のまち」「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」「市民の知恵と力が活きるまち」などのブランドを強化しながら、市外の方には「流山市に住んでみたい」、市民の皆様には「住み続けたい」と思っていただけるまちづくりに取り組んでまいります。
地域の特色を踏まえたまちづくり
次に、地域の特色を踏まえたまちづくりについて申し上げます。
本市の魅力をさらに高めていくためには、既成市街地においても、各地域の特色を踏まえたまちづくりを進めていく必要があります。
江戸川台駅では、「『ここに居たい、ここに来たい』と感じられる場づくりを。」を目標として掲げ、駅東口周辺の再整備を進めています。商店街通り、ジェトロ跡地、駅前広場について、それぞれ具体的な設計を進め、地域の方が滞在したいと思える場づくりと、外から訪れたくなる魅力づくりに取り組んでまいります。
初石駅では、駅東側からのアクセスと利便性の向上のため整備を進めている橋上駅舎と自由通路が本年12月に供用開始となる予定です。西口駅前広場についても、その将来構想について、安心で快適な空間を創出するため、関係権利者や地元の皆様と、引き続き協議を行ってまいります。
南流山駅では、昨年創設した奨励金制度により「南流山駅周辺地区まちなみづくり指針」に沿った新築・改築等を促進し、土地の高度利用化と良質なまちなみづくりを推進してまいります。また、北口・南口の駅前広場の再整備に向けて基本計画の作成を行い、「流山市の南の玄関口」にふさわしいまちづくりを進めてまいります。
これら各地域の地域性を踏まえたまちの再整備により、流山市全域のより快適な都市環境の実現に取り組んでまいります。
交流人口と地域経済活性化
次に、交流人口と地域経済活性化について申し上げます。
日本の人口減少が加速する中、まちの賑わいの創出と地域経済活性化のためには、一層の交流人口増加策が重要です。
流山本町では、新たな拠点となる白みりんミュージアムが3月29日にオープンします。地域の事業者や住民の皆様とともに、白みりんを活用したツーリズムを推進してまいります。古民家再生プロジェクトでは、3月末にオープン予定の店舗も含め、今年度は新たに2件の店舗がオープンし、市の補助金を活用し出店している店舗は11件となりました。これらを含め、流山本町にある様々な地域資源を活かし、白みりんミュージアムを拠点に回遊性を高めてまいります。
利根運河地域では、眺望の丘付近で、対岸に渡れるよう飛び石橋の整備を進めており、東京理科大学野田キャンパス内の理窓会記念自然公園へのアクセスが良くなることから、東京理科大学や、関係機関と協議・連携しながら、ツーリズムを推進してまいります。
すべてのこどもにやさしいまちづくり
次に、すべてのこどもにやさしいまちづくりについて申し上げます。
本年4月から、新たな「こども計画」がスタートします。こども・若者の育ちを地域全体で支え、こどもの権利保障のための取組などを進めながら、自分らしく安心して生きることができる、「すべてのこどもにやさしいまちづくり」を進めてまいります。
また、本市は、「流山市多様性を尊重する社会の推進に関する条例」により、すべての人々が、性別等・年齢・障害の有無・人種・国籍などの違いに関わらず、自分らしく暮らせるまちの実現を目指しているところです。
そのような中、障害児や医療的ケア児などの要配慮児童が円滑に保育所へ入所できるよう、令和6年度から要配慮児童保育コンシェルジュの配置をはじめ、民間保育園への受け入れ環境整備を支援するなど、受入拡充を進めてきました。
令和7年度からは、私立幼稚園に対しても、要配慮児童を受け入れるための職員の加配や環境整備等を行うための補助を大幅に拡充します。
これにより、保育・幼児教育を希望するすべての要配慮児童の保育園・幼稚園への「全入」体制を目指してまいります。
安心の長寿社会の実現
次に、安心の長寿社会の実現について申し上げます。
本市は、こどもや子育て世代のみならず、高齢者人口も増加しており、令和6年4月現在で47,304人と、20年前と比較して約9割増加しています。今後も当面は増加する見込みであり、長寿社会に対応したまちづくりは本市の重要な課題です。
ひとり暮らし高齢者の緊急通報装置への支援の拡充や補聴器への助成などをはじめ、高齢者が住み慣れた地域で安心して生き生きと暮らし続けられるよう、高齢者支援計画に基づき様々な施策を展開してまいります。
安心・安全のまちづくり
次に、安心・安全のまちづくりについて申し上げます。
昨年元日に発生した能登半島地震から1年が経過し、能登半島豪雨からは約5カ月が経過しました。本市はこれまで、大きな被害を受けた姉妹都市・能登町へ様々な支援を行ってきたところです。現在も行っている職員の派遣については、令和7年度も引き続き実施し、能登町の復旧に向けた業務を支援してまいります。
また、阪神淡路大震災から30年が経過しました。首都直下地震や南海トラフ地震はもとより、不測の自然災害に対し、市としても平時から備えを進めておく必要があります。
市民の安心・安全を最優先に、迅速かつ円滑に対応できるよう、引き続き、公的備蓄や避難所の環境整備、災害時協定の締結などにより防災体制を整えるとともに、自主防災組織への支援や、避難行動要支援者に対する個別避難計画の作成を進め、防災部門と福祉部門が連携しながら、災害時の支え合いの地域社会づくりを推進してまいります。
また、現在進めている消防本部・中央消防署新庁舎を拠点に、日勤救急隊の設置等により消防・救急体制の充実強化を図ってまいります。
すべての方に住み続ける価値の高いまちづくり
本市の市政経営において重要なのは、市民一人ひとりが安心して快適に暮らせて、「住み続けたい」と思っていただけるまちづくりです。
そのために、市民に寄り添う行政を前進させ、保育、教育、福祉などをはじめ各分野で質を高め、より安心で快適なサービスを提供し、良質なまちづくりを進めていくことで、障害のある方もない方も、子育て世代の方も高齢者の方も、「すべての方に住み続ける価値の高いまち」となるよう、職員一丸となって全力で取り組んでまいります。
予算編成方針
続きまして、令和7年度予算編成について申し上げます。
去る令和6年10月1日、私から各部局長に対し、令和7年度予算編成方針の中で以下の3点について指示致しました。
まず、令和7年度はごみ焼却施設の延命化事業や初石駅施設整備事業、江戸川台駅東口周辺地区整備事業などの大規模事業による投資的経費の大きな支出が見込まれるほか、人口増を背景に、子育て・福祉・高齢者などの市民サービスを維持する経常的経費も増加し続けていることから、多様な市民ニーズを的確に把握し、必要性を精査した予算措置を行うこと。
次に、資材等の物価や人件費が高騰し続ける中、事業の内容および優先順位を見直しの上、真に必要な予算のみ計上するよう歳出削減を行うとともに、職員の採用が困難な状況を理解し自治体DXの積極的な推進により業務の効率化と市民の利便性の向上を図るほか、補助金などの財源を最大限確保するなど限られた財源を効率的かつ効果的に活用し、健全財政維持に努め、全職員が合理的かつ効率的な事務執行を心掛けるよう、部局長の責任を果たすこと。
以上の点に留意し査定において事業と金額を精査してまいりました。
その結果として、令和7年度流山市一般会計歳入歳出予算総額は、855億1,200万円で、前年度予算額829億1,000万円と比較して、26億200万円、3.1%の増額となりました。
また、各特別会計および上下水道事業会計を合わせた予算総額は、1,324億731万8千円で、前年度と比較して、34億1,629万7千円、2.6%の増額となりました。
主要事業
続きまして、具体的な施策の展開として、令和7年度主要事業について、総合計画の施策体系ごとに申し上げます。
1. 安心・安全で快適に暮らせるまち
はじめに、「安心・安全で快適に暮らせるまち」について申し上げます。
防災については、多様性に配慮して、アレルギー対応食品の備蓄を進めるほか、子ども用・大人用それぞれの紙おむつや生理用品等の衛生用品、段ボールベッドや折り畳みベッド等の備蓄や資機材の整備を進めてまいります。
消防・救急については、増加する救急需要に対応するため、日勤救急隊の運用を開始します。
防犯については、引き続き、防犯カメラの設置・管理を行うとともに、流山市民安全パトロール隊や自主防犯パトロール隊の防犯活動を支援してまいります。
地域コミュニティ・市民協働については、引き続き、市民活動推進センターが各団体や企業、行政関係部署をつなぐ架け橋として、市民の皆様の活動を後押しして、市民の知恵と力をカタチにする環境を整えてまいります。
また、老朽化が進んでいる八木南第3コミュニティホームの移転建て替え工事を実施し、施設の適正な維持管理を行うことで地域コミュニティの維持・強化を図ってまいります。
2. 生きがいを持って健康・長寿に暮らせるまち
次に、「生きがいを持って健康・長寿に暮らせるまち」について申し上げます。
健康・医療については、ヒトパピローマウイルスワクチンのキャッチアップ接種の期間延長と、65歳以上の帯状疱疹ワクチンの定期接種の開始が決定されたことから、接種機会の確保に努めてまいります。
また、3歳児健康診査においては、小児科診察を個別健診から集団健診に変更し、受診率向上に努めてまいります。
生涯学習については、利用者が安心安全に施設を利用できるよう、生涯学習センターおよび東部公民館の受変電設備の更新工事を行ってまいります。
また、中央図書館および博物館トイレのバリアフリー化等の改修を行うとともに、森の図書館の南側通路を整備し、施設の利用環境の向上を図ります。
さらに、市内保育所等の子育て関連施設に「乳幼児向けブックセット」を設置することで、子どもの読書環境の整備を支援してまいります。
文化芸術・歴史については、国登録有形文化財である「秋元家住宅土蔵」の建物内部の保存修復工事を行い、令和7年度中の公開を目指してまいります。
スポーツについては、流山スポーツフィールドA面の人工芝化および照明施設を新設し、スポーツ環境の充実を図ってまいります。
3. 良質な住環境のなかで暮らせるまち
次に、「良質な住環境のなかで暮らせるまち」について申し上げます。
みどりの保全については、公園や緑地、街路樹等の安心安全な維持管理に努めるとともに、民間事業者のノウハウを生かした官民連携による市総合運動公園の再整備など、区画整理事業の進捗に合わせながら、市民サービスの更なる向上と公園の魅力や賑わいの増進を図ってまいります。
市街地整備・景観については、江戸川台駅の駅前広場は令和10年度、ジェトロ跡地は令和9年度の供用開始を目指し、引き続き、江戸川台駅東口周辺地区の再整備を進めてまいります。
また、流山おおたかの森駅周辺の西口と南口を繋ぐセンター地区道路については、一方通行化をした市道29024号線の交通量調査等を行い検証するとともに、歩行者の安全性確保のもと、回遊性と賑わいを創出するウォーカブルなまちづくりを進めてまいります。
道路については、安全な道路機能を維持するため、引き続き、計画的な道路補修を実施してまいります。
また、市内にある狭隘道路等を改良し、地域住民の通行の安全および生活環境の向上に寄与してまいります。
上下水道については、おおたかの森浄水場の中央監視システムの更新工事を行うことで、安全な水道水の安定供給を維持してまいります。
交通については、地域住民の生活の足として流山本町でグリーンスローモビリティの導入に向けた環境整備を行ってまいります。
生活環境については、ゼロカーボンシティを目指し、引き続き戸建てや集合住宅、事業所への太陽光発電設備や蓄電池等の設置に対し補助を行うほか、既存住宅の窓の断熱改修に対しての補助を強化します。
廃棄物については、ごみ焼却施設の延命化に伴う基幹的設備の改良工事を行い、令和7年度の工事完了に向けて取り組んでまいります。
また、粗大ごみの戸別収集について、インターネット予約を開始し、24時間予約受付を可能にするとともに、電子決済を導入することにより、市民の方の利便性向上を図ってまいります。
4. 賑わいと魅力のあるまち
次に、「賑わいと魅力のあるまち」について申し上げます。
地域経済については、市内中小企業等の労働力不足を解消するため、引き続き、職場環境改善の取組に係る費用の一部を助成するとともに、新たに、人材の確保を目的として実施する取組の費用の一部を助成してまいります。
また、引き続き、エネルギー価格および材料費の高騰等、社会・経済情勢が変化する中、持続的な経営に向けて販路拡大等を目指す事業者の取組における経費の一部に対し、補助してまいります。
5. 誰もが自分らしく暮らせるまち
次に、「誰もが自分らしく暮らせるまち」について申し上げます。
高齢者福祉については、中部および東部、南部の3カ所の地域包括支援センターの職員を増員し、複雑・困難化する事例等に対応できるように取り組んでまいります。
さらに、介護認定調査にタブレットを導入し、介護認定業務の効率化を図ってまいります。
障害福祉については、医療的ケアが必要なお子さんや重度の障害のあるお子さんを支援する事業者や特色のある事業を展開する事業者が市内で施設を開設するための支援を行ってまいります。
また、障害者の働く場の確保や就労スキルの向上を図り、社会的・経済的自立を促すため、市役所内にチャレンジドオフィスながれやまを開設します。
地域福祉については、引き続き、生きづらさ包括支援事業として、既存の分野別の高齢や障害、子ども、生活困窮といった福祉制度に当てはまらない狭間やいくつもの分野にまたがった支援ニーズに対応するため、各相談支援機関の円滑な連携体制を推進するとともに、昨年10月に開設した「よりそいサポートセンター」と連携し、支援が必要だが自ら相談できない方や、相談に来られない方には、ご自宅へ出向くアウトリーチ型の支援等を行い、地域の中での居場所づくり等生きづらさを抱える市民を一人でも少なくできるよう取り組んでまいります。
共生社会については、戦後80年の節目であることから、被爆直後の悲惨な様子を描いた「原爆の図」の複製画を埼玉県東松山市の丸木美術館から借用して、平和ポスター展を例年より拡充して実施し、戦争の記憶を風化させず、平和の尊さを改めて認識する機会を設けてまいります。
6. 子どもをみんなで育むまち
次に、「子どもをみんなで育むまち」について申し上げます。
子ども・子育てについては、民間保育園において、児童が体調不良となった場合に看護師が対応できる環境づくりを図るため、看護師を配置する費用に係る補助額を増額してまいります。
また、子ども食堂と連携することにより、支援が必要なこどもの見守り体制を強化し、虐待の未然防止や孤立化の防止に努めてまいります。
さらに、こどもの貧困の連鎖を防止するため、こどもの学習支援の対象を中学校1年生まで拡大するとともに、こどもの養育費確保等のため、公正証書作成の助成等により離婚前後の生活や子育てに関する不安や負担を軽減する支援を行います。
また、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うため、産後ケアにおいては、非課税世帯以外の利用者を対象とした自己負担額の減免を図るとともに、支援が必要な妊産婦への育児や家事支援サービスを提供するほか、子育て中の親子がいつでも気軽に交流・相談ができるひろば型の地域子育て支援拠点を、保育所以外のより身近な場所で必要な地域に新たに設置してまいります。
さらに、こども・若者の居場所づくりを推進するため、高校生・大学生世代などの若者が気軽に立ち寄れ、安心して自由に過ごすことができる居場所を新たに設置し、NPO等と連携して相談対応やイベント等を開催することで、こどもや若者の成長を促す居場所としてまいります。
学校教育については、児童・生徒数の増加に対応するため、おおぐろの森小学校および常盤松中学校において、教室不足が生じないよう、校舎増築工事を進めてまいります。
また、学校施設の老朽化対策として、江戸川台小学校をリニューアルするため、令和8年度の完成に向けて引き続き工事を進めるとともに、東小学校についても、リニューアルに向けた設計業務を進めてまいります。
さらに、不登校の児童生徒向けに、これまでのフレンドステーションに加えて、バーチャル空間を活用した不登校支援を行い、カウンセリングの実施や他者とのコミュニケーションを図ることで、居場所の拡充や社会的自立に向けた支援を進めてまいります。
7. 行政経営について
最後に、行政経営について申し上げます。
オンライン申請サービス「行かない窓口」を引き続き推進するとともに、来庁時に市民が申請書などを書く負担を軽減するための「書かない窓口」や、税金などの口座振替申請手続をインターネットでできるWEB口座振替受付サービスを実施し、市民の利便性の向上に取り組んでまいります。
以上、令和7年度に実施を予定する具体的な施策として、主な事業についてご説明させていただきましたが、それ以外にも多くの事業があります。
これら実施を予定しているすべての事業が、市民生活や市民福祉の向上のため、必要であり重要な事業と考えます。
先人から受け継いだ流山市政のさらなる進展のため、住み続ける価値を高める市政経営に全力で取り組んでまいる所存です。
市民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げ、令和7年度の市政経営に臨む私の施政方針といたします。
ご意見をお聞かせください
このページに関するお問い合わせ
総合政策部 秘書広報課
〒270-0192 流山市平和台1丁目1番地の1 第1庁舎3階
電話:04-7150-6063 ファクス:04-7150-0111
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。