ぐるっと流山　イプシロン ピアノデュオ リサイタル

　令和3年9月25日（土曜日）、スターツおおたかの森ホールで市内在住のピアニスト北端祥人さん、守重結加さんご夫妻による 「イプシロン ピアノデュオ リサイタル」が開催されました。当日は、手指消毒、検温、座席の間隔をとるなど感染対策のもと、2台ピアノの演奏を楽しみました。イプシロン（Ypsilon）は、ドイツ語の「Y」のことで祥人（よしと）さんと結加（ゆか）さんの頭文字です。ベルリン芸術大学大学院在学中の2015年からピアノ・デュオとして活動を開始し、同大学室内学科を修了。2019年から活動拠点を日本国内に移し「Ypsilon Piano Duo」としてドイツをはじめ欧州各地で演奏活動を行うほか、ドイツ・ポーランド善隣友好条約締結25周年記念コンサートの出演やベルリンのフィルハーモニー（大ホール）でデビューするなど、活動は多岐に渡ります。

　木のぬくもりが感じられる新しいホールの舞台にスタインウェイとヤマハ、2台のフルコンサートピアノがどっしりと向かいあって置いてあり、いよいよコンサートが始まりました。
　1曲目の「2台のピアノのためのロンド」（作曲：ショパン）は、「繊細でありながらほとばしるようなパッセージ」の通り、キラキラして息をのむような演奏でした。1曲目が終わるとマイクを持ち、「流山のすばらしいホールで今日の演奏会を開催できたこと、また演奏会のためにご尽力くださった方々に感謝します」とお話されてから、曲目の解説がありました。　

　2曲目の「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 」（作曲：モーツァルト）は、「”のだめカンタービレ”でもおなじみ、魅力満載の曲で、メロディを交互に弾くので目でも楽しめると思います」と、二人の息がぴったり合った演奏と絶妙な間を堪能しました。
　休憩をはさんで3曲目「月の光」（作曲：ドビュッシー、編曲：デュティユー）は、「原曲とあまり変化が無いようですが、実は縦に合わせるのは難しく、北端さんの眉毛の動きを見て演奏しました」と守重さん。北端さんは「プリモ（第1）ピアノの蓋の裏に2台のピアノの音が反射してよく響いた」と話され、会場内は幻想的な空気に包まれました。

　4曲目の「前奏曲 ＜鐘＞」（作曲・編曲：ラフマニノフ）を、守重さんは「憂いのあるロシアの冬を思わせる、メッセージ性のある曲」と感じ、北端さんの「ピアノ1台だと一枚の絵のように、2台だと立体的な芸術のように感じ、大聖堂の鐘のよう」という演奏は、まさに重厚で荘厳に響く教会の鐘の音でした。
　最後は同じくラフマニノフ作曲「組曲 第2番 」。技術的にとても難しく、波と波がぶつかり合いうねりのような、2人のピアニストがグルーヴを作るような曲、という解説のとおりで、ラフマニノフの交響曲を思わせました。　

　客席からの大きな拍手に応え「本来ならば終演後ロビーにてご挨拶したいのですが、アンコールで感謝の気持ちを伝えたいと思います」とモーツァルト作曲「ソナタ ハ長調」より第2楽章（グリーグによる2台ピアノ編）を披露されました。トークではお二人のお人柄が感じられ、奏でるピアノは自然体で、音色は色彩豊かでした。終演後、観客の方からは「ピアノ・デュオのリサイタルは初めてでワクワクしながら聞き、とても楽しむことができました」や「柔らかい音色と息の合ったお二人の演奏に聴き入り、心が揺さぶられました」、「流山市民だなんて嬉しい。応援したい」などの感想が寄せられ、皆さん大満足の様子でした。

　北端さんのTwitterには、ホールでのリハーサルで「2台ピアノのよいバランスを探すために試行錯誤し、結果、互いのピアノがかなり近づきました」とあり、合わせのご苦労も伺えました。守重さんは「プリモがスタインウェイを、セコンドがヤマハを使用しましたが、調律師の方が素晴らしく、スタインウェイとヤマハのメーカーの差が限りなく僅差に感じられ、また、よく溶け合うけれど混ざり過ぎることがない、よいバランスを作れたのが個人的に嬉しかったです」とお話ししてくれました。

<お二人の公演>
◇守重結加ピアノリサイタル※公演は終了しています
日時：10月8日（金曜日）19時、場所：ムジカーザ（東京都渋谷区代々木上原）、問い合わせ：事務局✉ypsilon.pianoduo@gmail.com
◇北端祥人ピアノ・リサイタル
日時：11月11日（木曜日）19時、場所：東京オペラシティ リサイタルホール（東京都新宿区西新宿）、問い合わせ：ヤタべ・ミュージック・アソシエイツ(https://y-m-a.com/)✉ticket@y-m-a.com