サンコーテクノ株式会社

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ページ番号1005397  更新日 平成29年9月15日

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サンコーテクノ株式会社代表取締役 洞下英人社長にお話を伺いました

  


御社の会社概要と主な事業内容についてお聞かせください。

写真2
洞下英人社長

当社は主に建設資材のアンカーボルトの開発、製造、販売をする企業です。
昭和39年に三幸商事株式会社を設立して建設用鋲打ち銃・ピン・アンカー・工具などの販売をスタートさせ、昭和41年に三幸工業株式会社を設立してオールアンカーの製造を開始するようになりました。平成8年に両社が合併して現在のサンコーテクノ株式会社となりました。
アンカーボルトとは、主にコンクリート構造物に電気等の設備を取り付けるために必要な部材です。木材に何かを取り付ける際に釘があるように、アンカーボルトはコンクリート用の釘のようなもの…、と一般の方々には説明しています。もちろん各種設備を取り付ける相手側の建材は、コンクリート以外にも金属や石膏ボードなど様々で、当社ではこうした建材にも適用した製品を取り揃えています。
当社の製品は主に販売店(建設資材問屋)を通じて建築現場で使われています。戸建てやマンション、オフィスビルのほか、誰もが利用する公共施設に用いられていますが、残念ながら外観からあまり見ることができないところで使われていることが多いのです。
なお、社名の「サンコー」は前身会社の社名「三幸」からきていまして、「三幸」という社名は、「社会」、「会社」、「従業員」の三者が幸せを目指すことから由来しています。 

アンカーボルト
アンカーボルト                 アンカーのしくみ             施工用途

 

 

 

 

 

 


 

アンカーボルト以外にも人々の安全にかかわる製品を開発されているようですが、どのようなものがありますか。

主な製品として、以下のようなものがあります。

紫外線硬化型FRPシート
躯体補修、船舶補修、自動車バンパー内側補修用の紫外線硬化型FRPシートです。補修箇所の形状が複雑な場所でも施工が容易で強度も安定しているのが特徴で、今後国内各地で進められる老朽化した施設の修繕・改修の際に需要が見込まれるものと考えています。市内の工場で製造しています。
COセンサー
 火災現場などでの消防活動等に欠かせない携帯型一酸化炭素濃度測定器です。市内各消防署に無償提供させていただいています。
アルコールチェッカー
呼気中に含まれるアルコール濃度を測定する機械です。車両運行業の事業所においてドライバーの安全管理の面で必要な機器です。市役所に1台無償提供し、市職員の運転前の安全確認に活用いただいています。販売にあたってはドコモ・システムズ株式会社と共同で行っております。
熱中アラーム
気温の上昇する恐れのある場所での作業の際、熱中症の恐れを未然に検知し、現場管理担当者に知らせる携帯型装置です。開発は株式会社タニタとの共同によるものです。

当社の開発コンセプトは「安全」「安心」「環境」です。社会、周囲の人々のお役に立てるモノを世の中に提案すべく、日々努めております。
また、社会のニーズは自然災害や人的事故が生じた後に突然生まれることが多いものです。それらのニーズに応える製品の開発を1社だけで行うには時間的に限界があります。効率よく製造、販売、流通させるのも単独では難しいことが多々あるので、様々な企業とのコラボレーションは欠かせません。WIN-WINの関係が構築できるパートナーとの連携づくりにも力を入れています。 
 

ボルト以外の製品
左から、FRPシート、消防活動で利用されるCOセンサー、アルコールチェッカー、熱中アラーム

 


創業時から東京都内に本社をおかれて、近年流山市に本社移転されましたが、その経緯について教えてください。

サンコーテクノ本社の写真
南流山3丁目にある本社ビル

創業以来、「三ノ輪」駅周辺に本社を登記していました。当時、近隣地は建設資材関係の問屋が多かったことと、台東区や荒川区周辺は埼玉県内や東葛地区からのアクセスもよく、従業員の確保にも都合が良かったこともあり、本社を構えるのに好適地だったのです。但し、工場と倉庫は流山市鰭ヶ崎にありました。
創業から40数年経過し、三ノ輪の本社社屋の老朽化により、建替えを検討するようになりました。同じところで建替えをするにも一時的にどこかに移転する必要はあったので、新天地への移転も視野に入れるようになりました。ちょうどTX(つくばエクスプレス)が開業するタイミングもあり、今後の発展が期待される地元流山を移転先として決断しました。
都内から離れることについては、顧客との距離感、新規採用者の確保などの面で苦慮するのではないかと社内で懸念する意見も正直ありましたが、結果的にそれらの懸念事項は問題ありませんでした。
当社はB2B*の取引形態の製造業であるので、顧客との連絡はICTを活用することで都内でなくても支障は生じていません。また、千葉県内やTXや武蔵野線沿線には、「千葉県内で働きたい」といった学生も多く、彼らが一定条件を設定してWEB検索すると、当社が候補として目に留まり注目されているようで、かえって都内にいた時よりも就職応募が多くなりました。
*「B2B」とは、Business to Businessの略で企業間取引」を意味します。具体例としては、製品メーカーと商社の取引や、卸問屋と小売店の間など、企業間の取引がB2B(BtoB)に該当します。一般消費者を「C」(Consumer)と呼んでいて、企業と一般消費者間の取引をB2C(BtoC)、一般消費者同士の取引をC2C(CtoC)と呼ばれています。
※「コトバンク」から引用
 

 


流山市内に複数の事業所がありますが、市内における事業内容や従業員数などについてお聞かせください。

TLIセンターの写真
工業団地内にあるテクノLIセンター

現在、流山市内にあるサンコーテクノグループの事業所(関連子会社を含む)には、約200名の従業員が働いています。アンカーボルトの製造は主に海外(タイ)の工場で行い、流山工業団地内の工場では、アンカーボルトのパーツのアッセンブリー(組立)を行っているほか、物流部門や開発部門のスタッフが働いています。
当社に就職した後に流山市内に移り住むスタッフもおり、工場、事務所に働く女性も市内居住者が年々増えています。

 

 


国外にも事業所を構えられていらっしゃいますが、海外での目標や苦労されている点などをお聞かせください。

写真8
サンコーファステム タイランド (タイ)

海外はアジアを中心に拠点を設けて事業展開を進めています。アンカーボルトの国内シェアは40~50%と業界トップを走っていますが、世界市場ではまだまだEUの企業に後れを取っているのが現状です。
製品の価格面での競争には限界があるので、安全面における信頼を獲得していくことが今後のシェア拡大につながるものと考えています。地震の多い日本での実績は、安全性の実績でもあるので、これまでの実績のデータ等をわかり易く整理し、各国の関係機関にアピールしていきます。
また、周辺国では既に当社の製品を装った製品、いわゆる模倣品が出回っています。当社オリジナルのものと比較すると素材、強度、精密度の面で信頼性に欠いており対応には苦慮しています。模倣品が出回ることは社会の安全性が脅かされることになるので、今後アジアではただ単に製品を製造・販売するのではなく、製造技術の販売といったことも視野に入れていこうと考えています。

 


企業立地奨励金はどのように活用されましたか。

5年間交付を受けた奨励金は、新製品の研究開発費に充当させていただきました。おかげさまで、太陽光関連事業はじめ耐震補強事業などで使用される「ストラタイト」「ディスクシアキー」「あと基礎アンカー」といった新製品を順調に開発することができました。まさに奨励金がこれらの製品を生んでくれたことになります。

ストラタイト、ディスクシアキー、あと基礎アンカー
奨励金を活用して開発した製品。左からストラタイト、ディスクシアキー、あと基礎アンカー

 


流山市で事業を行ってきたなかで気付かれた点や今後行政に求めていきたい事項をお聞かせください。

洞下社長

先ほども申し上げましたが、B2Cのビジネススタイルは場所を選ぶがB2Bは必ずしも場所を選ばないということを実感しました。東京に本社を置くことがステータスのような風潮が強かった時代もありましたが、ICTが進む昨今では、B2Bの企業の場合、逆に人材の確保と従業員のワークライフバランスの面では、住環境に優れた街に立地することが優位なこともあるということです。これは、流山市に移転してきて実感できたことです。
このように流山市への立地はB2B企業にとっては、メリットが大きいのですが、残念なことに製造業の用に供する土地が不足していることが残念です。アジア諸国では、OECDが整備した賃貸工場物件が豊富にあり、多くの工場の受入れに力を入れており、国内企業の製造拠点が現在も海外に移転し続けています。
最近、関東でも茨城県などでは県が主導になって、工業団地の整備、物流施設の誘致を盛んに行っていて、東京、神奈川、千葉の企業が移転を進めているようです。私見ですが、千葉県は東葛地区における産業(特に製造業)の活性化に向けた取り組みが盛んではないように感じられます。東葛地区は国内でも人口が増加していて労働意欲の高い方々も多くいる魅力的なエリアなので、各市が協力して千葉県に働きかけて製造業や物流業のための基盤整備を進めていただくことを願っています。
また、昨今は国策で女性の活躍、とりわけ管理職への登用が叫ばれるようになっていますが、そのためには女性が活躍できる環境づくりが不可欠だと考えます。当社においても子育て中の従業員には16時退社ができるような制度を設けるなど、企業として可能な環境づくりに努めています。
流山市には、企業では実現できないことを期待します。流山市は「母になるなら、流山市。」と子育て世代の住民誘致に力を入れていて若い世代の人口が増加しているようですが、同時に保育所や学童保育施設が不足しているように感じています。それは、働く女性、働きたい女性が増えている証拠でもあります。今後の地域の発展のためには有能な女性にも産業の分野で活躍することが不可欠ですので、女性が活躍できる環境整備の充実に力を入れていただくことを期待しています。

 


数年前に笹子トンネルの崩落事項があり、それを機に建設現場での施工方法や建設資材の耐食性などに注目が集まりました。安全性と利便性と経済性が同時に求められていますが、建設資材業界の牽引役としてどのようにお考えでしょうか。

洞下社長

笹子トンネル崩落事故は、私どもの業界において大変衝撃的な出来事でした。笹子トンネルの場合は、ボルトを接着剤で固定する工法がとられており、当社のようなアンカー式のものではありませんでした。 
工法は違いますが経年劣化の恐ろしさを感じました。同時に、改めて更なる安全性の高い製品開発に努めていく覚悟を持ちました。
当社の製品が様々な現場で適切に利用していただくために、当社ホームページでは施工方法も紹介しています。製品の模倣というリスクはありますが、正しく施工していただくことで安全性が保たれ、信頼を得られることにつながるものと考えています。

 


御社は「倫理17000」という認定を取得され、企業としての倫理観の向上に努めていらっしゃいますが、実際にどのように社内に浸透させているのでしょうか。

倫理17000認定証
倫理17000認定証「第1号」

 『徳』が大切だと常々思っています。
企業が利益を追求することは当たり前のことです。利益を得るためにどうしたらいいか。技術力の向上、経営体力の向上、熱意、優秀な人材などが必要ですが、それだけでは不足と考えます。
「企業の品格」、「働く人の品格」が大切で、またこれを常に高めて維持していくことが組織の成長につながるものと考えています。こういった理念に基づくと「三方よし」の精神に通じていきます。
当たり前のことを当たり前のようにできる集団を目指し、毎日の朝礼では時間をかけて習慣化のための斉唱を継続しています。個々の従業員の心の部分、倫理観を高めてもらいたいためです。
ゴミが落ちていたら当たり前のように拾うことができるか。人とすれ違って当たり前のように挨拶をすることができるか。組織によっては、やることが恥ずかしいというところもあるかもしれませんが、実はやらない方が恥ずかしいということに気付かなければおかしいのです。
常に先手で動くことが個々の徳の向上につながり、やがてチーム力の向上につながると考え社内で実践しています。

 


地域貢献として取り組まれていることは何かありますか。

ショールームの写真
ショールームを見学する子どもたち(予約制)

毎年、複数の小学校、中学校から申し入れのある職場体験を受け入れています。社会勉強が本来の趣旨なのかもしれませんが、子どもたちにはモノづくりの楽しさも体験してもらいたいですね。
現在のところ、市内企業とのコラボレーションがなかなかできていません。商工会議所などの催事を通じて交流を深めることもできますが、ただ参加するだけではなく、個々の企業が歩み寄る気持ちを持って臨むことが大切だと思います。
当社としても今後の連携構築に向けて交流を深めてまいります。また、今回このインタビュー記事を通じて当社を知っていただき、お声をかけていただけると幸いです。

 


今後、流山市への進出を考えている事業者へのメッセージをお願いします。

洞下社長

少子高齢化と人口減少が進むなか、流山市は若い世代の人口流入が続いています。これは市がこういった社会情勢の到来を見極めて「母になるなら、流山市。」とシティセールスを進め、子育て世代に対する施策に重点を置いてきたことが要因として大きいものと思います。比較的若い世代が定住するということは、企業が立地することでいうことで、職と住の近接が実現できます。これは企業にとっては、長期に働いてくれる有能な社員を獲得できるチャンスであり、従業員にとっても仕事と子育ての両立とワークライフバランスの確立ができるといった面でとても有益なことです。もちろん、すべての業種において共通することではありませんが、流山市はB2B企業の拠点に適した場所だと思います。


 

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