ぐるっと流山 鰭ケ崎おびしゃ行事

ページ番号6823 更新日 平成23年1月24日

鬼を祓う紅白の矢 鰭ヶ崎おびしゃ行事

行事の前に集合写真

 1月20日、鰭ヶ崎の雷神社で「鰭ヶ崎おびしゃ行事」が行われました。この行事は、かつては1年の当番7人が耕作した備社田(神社が所有する田んぼ)で収穫された米や野菜を奉納し、五穀豊穣や家内安全を祈願する行事でした。現在では、備社田の耕作はありませんが、祝詞奏上、玉串奉天、トウ渡し、的撃ち、直会(なおらい)、送り込みなどの一連の儀式が江戸時代の享保年間(1716年)から脈々と受け継がれ行われており、昭和52年には市内初の市指定無形民俗文化財に、平成6年には県の記録選択文化財となっています。


平日にもかかわらず大勢の人が集まった

 「おびしゃ」は弓を射る「歩射(ぶしゃ)」からきていると言われる、利根川流域で多く見られる正月行事です。鰭ヶ崎のおびしゃは、多くの行事が土日に行われるようになっている中、曜日に関係なく毎年必ず1月20日に行われています。両側をマンションに囲まれ、住宅地の中にひっそりとたたずむ会場の雷神社。午後2時半には、カメラを持った一般の見物客が集まりだし、儀式が始まる3時には100人以上の観客で境内が埋め尽されました。


酒を酌み交わす

 昨年から始まった、行事の前に鰭ヶ崎小学校に七福神が出向く特別授業が今年も行われました。社殿では、諏訪神社の古谷宮司による祝詞奏上や玉串奉天から始まり、続いて、新旧の7人の当番が引き継ぎを行う「トウ渡し」の儀式。色鮮やかな衣装を身にまとった旧当番の七福神と、裃に身を包んだ新当番が向かい合い、神酒を酌み交わして引き継ぎを行います。当番の中心となる「初戸(ハナト)」は、染谷吉輝さんから鈴木彰夫さんへと引き継がれました。

 そしていよいよ儀式の最大の見所でもある「的撃ち」の始まり。100人を超える観客が見守る中、拝殿から鳥居の方向へ5メートルほどの距離に立てられた赤鬼・青鬼の的を当番の皆さんが紅白の弓矢で射抜きます。鬼の的や弓矢も全て、当番の方々の手作りです。現在は鬼の絵は印刷ですが、かつては当番の方の手描きだったため毎年鬼の表情が変わっていて、これもなかなか味わい深かったといいます。


よーくねらって

 毎年、おびしゃ行事の日は1年で最も寒さが厳しくなるという二十四節気の大寒に当たり、この日も冷たい風が吹きすさぶなか、次々と矢を放って行きました。なかなか的に当てる方が少ないなか、今年は新旧の初戸が両名とも、見事に的を射抜き、行事を盛り立てました。


宮司によるあいさつ

 的撃ちが終わると会場を社務所に移して直会(なおらい)の始まりです。直会は、行事で奉納したものを皆で食べる宴会のようなもの。上座には、大根の胴にねぎの首を付けた鶴と、聖護院大根の体にゴボウの頭を付けた亀の飾りが置かれ、氏子の皆さん、新旧の当番が左右の席に分かれます。前年の初戸の染谷さんによる、神酒での乾杯で始まった直会。古谷宮司は「行事は、去年一年の神様へのお礼です。無事平穏で幸多い年になるようお守りください」と話し、染谷さんは「1年間、初戸を務めさせていただいて、ほっとしています」と正直な感想を話してくださいました。


獅子舞に頭をかまれると健康になれる

 宴が進むと、お囃子にのって獅子舞が登場。次々に投げ込まれるおひねりに、獅子の口におひねりを入れる氏子のおかみさん衆。最後には、獅子がくわえた掛け軸から「祝 無形民俗文化財 鰭ヶ崎おびしゃ」の文字が飛び出し、会場の盛り上がりは最高潮に。


カメラマンも多数きました

 このお囃子や獅子舞は、市内の祭りなどでお囃子や神楽を継承している赤城保存会の皆さんによるもの。獅子舞に続いては、狐と田吾作の神楽も披露され、会場の廊下からは、十数人の一般の見物客が折り重なるように、戸の間からカメラを差し込んで伝統行事をカメラに収めていました。当日の様子は、千葉日報や東京新聞にも掲載され、またJCNコアラ葛飾の1月21日のデイリーニュースで放映されたほか、同社のホームページ「BBコアラ」でもご覧いただくことができます。


宴は夜遅くまで続きました

 直会が終わると、「送り込み」と呼ばれる儀式が行われました。花で飾られた軽トラックに酒樽や味噌樽、おびしゃに使う道具などを乗せ、七福神や護持会の皆さんの先導で、道具を引き継ぐ儀式です。昨今の住宅事情から、今年からは「送り込み」の儀式は、社務所で行われることになりました。おびしゃ保存会の宇佐見憲雄副会長は「時代の変化に柔軟に対応しながら、伝統の行事を守っていきたい。」と話しました。こうして夜半まで続いた一連の儀式は幕を閉じ、新しい7人の当番は年4回行われる「おこもり」や、分雷(わけいかづち)神社への代参など1年間のお務めを行い、来年の1月20日には、また七福神の姿を見せてくれます。


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