ぐるっと流山 鰭ケ崎おびしゃ行事

ページ番号25976 更新日 平成19年1月22日

鬼を弓で射る鰭ケ崎おびしゃ行事 江戸時代からの伝統を伝える

縁起物の鶴と亀

 平成19年1月20日(土曜)、鰭ケ崎の雷(いかづち)神社で市指定無形文化財のおびしゃ行事が行われました。「おびしゃ」という名前は弓を射る「歩射(ぶしゃ)」からきていると言われています。流山はもちろん利根川の流域に広く見られる正月の行事です。流山では、戦前までは地区ごとに土地の産土様の神社を中心にどこでも行われていました。鰭ケ崎おびしゃ行事は、江戸時代の享保年間(1716~36年)から行われていると言われていて、都市化が進む中にあっても毎年1月20日に続けられています。鰭ケ崎というのは珍しい地名ですが、この地域には東福寺というお寺があり、そこに龍の鰭が落ちてきたという伝承があり、この名前になったと言われています。


トウ渡し

 午後3時、雷神社にことしの当番と、来年の当番、神社の役員などが集り、古谷和史神主による神事が行われました。その後、社殿の中で七福神に扮装したことしの当番から、7人の裃姿の来年の当番へと杯を交わし、やり方や名簿などが記された帳面が手渡され、「トウ渡し」という当番の引き継ぎが行われました。当番の中でも中心となる「初戸(はなと)」と呼ばれる家が中心になり、この日までの初戸である山崎あささんのお宅から翌21日からの「受け戸」である宇佐美邦夫さんのお宅へと引き継がれました。鰭ケ崎のおびしゃは、昭和52年に市指定無形文化財となり、平成6年には県の記録に残すべき文化財に選択されています。


井崎市長も的撃ちに挑戦

 これが無事に終ると、いよいよ「的撃ち」です。神社の社殿前から鳥居の方向に立てられた赤鬼、青鬼が描かれた的に向かって矢を射ります。赤や青の鬼の的も、弓矢もすべて手づくりです。もとは1年の占いの行事ではなかったかと言われています。井崎市長や鈴木教育長も挑戦しましたが、なかなか的には当たりません。七福神の中で見事、的を射抜いたのは、福禄寿に扮した宇佐美進さん。宇佐美さんは地元少年サッカーチーム翼FCの監督でもあるため、この日は、サッカー少年が大勢駆けつけ「監督がんばれ」という声援にプレッシャーを感じたと笑顔で語ってくれました。


見事に弓が的を射抜きました

 おびしゃには、どこにも当番があり、昔は当番の家の人が他の人たちにご馳走を振舞うという側面も強かったようです。鰭ケ崎でも、かつては「備社田」という神社所有の田圃があって、当番が1年間、この田を耕作して、その収穫から行事を行い、ご馳走を地域の人たちに振舞ったそうです。備社田で収穫した米や野菜を供え物として「五穀豊穣」や「家内安全」、「商売繁盛」を祈願する講であったといわれています。現在は備社田の耕作もなく、神社護持会からの助成金をはじめ当番者の負担金、市の補助金などで運営されています。


神社に残る対の茶釜

 その後、直会(なおらい)という神様に上げたものを皆でいただく宴会のようなものが始まりました。会場には、「鶴亀」というおめでたい飾り物が置かれます。松の盆栽と、そこに大根の胴体に流山名産のネギで首をつけた鶴、聖護院大根という丸い大根を半分にしてゴボウで頭をつくった亀を一緒に飾ります。地域によっては、松竹梅を飾ったり、亀がつがいであったり、また、白米を白い砂のように撒いた上に飾るところもありますが、おびしゃには、こうした縁起物の飾りが付き物です。あいさつに立った鰭ケ崎おびしゃ保存会の渡辺繁会長は、「神社に残る対の茶釜に彫られた年号によれば約300年の歴史のあるもの。この伝統をみんなで継承していきたい」と参加者に呼び掛けました。


めでたいお神楽

 宴もたけなわになった頃、赤城保存会のお囃子にのって獅子舞やお神楽が舞われました。かつては、地域の人や子どもたちによって伝承していましたが、今は、赤城保存会によって行われています。「たねがし」という狐と田吾作の種まきのおめでたいお神楽などが披露され、写真愛好家などが夢中で撮影していました。現在は、当番や役員が中心ですが、昔は地域の人は子どもからお年寄りまで誰でも参加していました。現在は、90軒ほどの昔からの氏子がおびしゃ保存会をつくって続けています。


おくりこみ

 直会も終わり、夜になると「おくりこみ」が行われました。花で飾った灯篭を先頭に恵比寿様や大黒様など七福神が万灯や提灯を手に行列をつくって行進します。いまは軽トラックに飾りつけた花自動車ですが、昔は台八車だったといいます。現在は使われることはありませんが、かつて、どぶろくを作っていた樽や味噌樽などおびしゃに使う道具等を乗せて、「受け当番」となる来年の当番の家々の中で、初戸(はなと)となる宇佐美邦夫さんのお宅まで送って行きます。「うぉー」と声を掛け合い、沿道の人々にみかんを配りながらの移動。途中、冷たい小雨が降る中、交差点では車を止めての行進です。


おくりこみ

 新しい初戸のお宅でもまた杯を交わし、七福神の衣装を引き継いで鰭ケ崎のおびしゃ行事は、ことしも無事終了しました。受け当番となった7軒では、来年のおびしゃ行事をはじめ1月、5月、9月、10月に行う「おこもり」の賄いなどの行事を1年間仕切っていきます。この日の模様は地元のケーブルテレビ「コアラテレビ」で1月25日(木曜)18時30分からのデイリーニュースで特集される予定ですのでぜひご覧ください。また、コアラテレビに加入なさっていないお宅でもインターネットの環境によってはブロードバンドコアラでご覧いただけます。


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