ぐるっと流山 利根運河薪能

ページ番号15164 更新日 平成21年6月2日

利根運河薪能 1,100人が幽玄の世界 降雨で室内に変更も間近で古典芸能を堪能

能「殺生石」

 5月31日日曜日夜、一昨年に続き流山で2回目となる薪能公演が行われました。当初、運河水辺公園に能舞台を特設して開催される予定でしたが、第1回目と同じく天候不順のため近くの東京理科大学体育館に会場を移して室内での開催となりました。残念ながら、運河堤を舞台にかがり火の中での能鑑賞とはなりませんでしたが、900席の前売り指定席はもちろん、当日売りの立見席にも約200人が集まり、合計約1,100人の方々が幽玄の世界を楽しみました。


狂言「寝音曲」

 薪能とは、夜間に能舞台の周りにかがり火を焚いて、その明かりの中で特に選ばれた演目を演じる能のことで、平安時代の中期から催された日本の伝統芸能です。もとは「薪の神事」などと称され新年に御薪を寺社に献進する儀式で、それにともなって行われる猿楽が「薪の猿楽」と呼ばれていました。その後、神事という要素が薄れてきても能楽の「幽玄」という要素を引き立てるために、屋外で薪を焚いて演能することが有効とのことから、現在では日本各地で大衆野外能として行われています。


野村萬斎と石田幸雄

 この日の演目は、狂言(和泉流)が「寝音曲」、能(観世流)は「殺生石」がそれぞれ演じられました。開演にあたっては、狂言や能に関する説明や出し物のストーリー解説が行われ、初心者にも解りやすい演出がなされていました。狂言の「寝音曲」では、主役のシテをNHKの大河ドラマ「乱の花」や朝の連続ドラマ小説「あぐり」に出演し人気を博した狂言師・野村萬斎さんが務め、その独特の発声や謡・舞の見事さに来場者も思わず息をのみ、「さすが萬斎」と絶賛されていました。


石が割れてなかから狐姿の精魂

 能の「殺生石」は、「白頭(はくとう)」という特殊演出で行われ、殺生石から現れる石の精魂の頭が白く、装束や所作もより派手で曲の緩急も激しくなり、面白さを一層引き立てる内容でした。クライマックスの巨石が割れて中から狐の姿で石の精魂が現われるシーンは圧巻でした。利根運河の川面に映るかがり火を見ながら・・・という雰囲気を楽しみにされていた方も多かったことでしょうが、体育館では川のない分かえって能舞台の近くに客席が設けられ、間近で能を鑑賞できる会場設定となりました。


鮮やかな衣装も見所

 客席中央の最前列でご覧になっていた東深井からお越しの市村房江さん(79)は、渋谷区の能楽堂まで年に何回も足を運ばれるほど観能がご趣味とのこと。「とても良い席で見られて感激です。萬斎さんは全身がひかり輝いて見えた」と満足そうに笑顔で語ってくださいました。チケットは一緒にいらしていた娘さんが母へのプレゼントにと、発売開始すぐに電話で予約されたそうです。「地元で本格的な能が楽しめてよかった。母もとても喜んでくれてうれしい」と目を細めていらっしゃいました。


鼓舞子座の皆さんがリハーサル

 また、この日は運河水辺公園でプロローグイベントも企画されていて、15時からのステージに向け空模様を気にかけながら12時頃よりリハーサルが行われました。出演団体は、クロアチア共和国で開催されたユネスコ主催の「世界子どもの祭典」に出演し高い評価を得た10代女子中心の舞踏団「鼓舞子座」、5月末にメジャーデビューしたばかりでおおたかの森駅ライブでも人気の金子知里さん、野田市を拠点に大正琴の可能性を探りながらポップな演奏を披露している女性9人による「奏弦」の皆さんです。


金子知里さんが雨中で熱唱

 鼓舞子座の皆さんは、リハーサルとは思えないほど力強い演技を披露してくださり、当日券を求めに早くからいらしていた方などが目を向けていらっしゃいました。ちょうど奏弦の皆さんがリハーサルをされている頃に雨が降り出し、ステージ開始の午後3時には本降りとなりましたが、金子知里さんが傘を差しながらも、メジャーデビュー曲「birth~誕生~」をはじめ2曲を熱唱してくださいました。なお、残念ながら他の2団体のステージは、太鼓や楽器を使用することから中止となりました。


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