ぐるっと流山 朗読劇「月光の夏」

ページ番号7042 更新日 平成22年8月9日

特攻隊員の最後の願いはピアノ演奏 ピアノ・ソナタ「月光」による朗読劇

劇団員4人による朗読

  8月7日(土曜日)、文化会館ホールでピアノ・ソナタ「月光」による朗読劇「月光の夏」が開催されました。平和都市宣言をしている流山市が贈る、終戦65周年連続公演の第2弾です。この連続公演は、原爆や特攻隊をテーマとした朗読劇を行うことで、当時の戦争被害者の想いを通して改めて平和の大切さを考えようと、市教育委員会と市民団体の「語り継ぐ平和への想い」実行委員会の企画によるものです。当日は、約500人の来場者が詰めかけ、根岸弥生さんのピアノ・ソナタ「月光」のピアノ演奏と「劇団東演」の俳優陣による朗読に耳を傾けました。


ピアノ演奏と朗読

 朗読劇「月光の夏」は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」の演奏と4人の朗読者によるドラマリーディングが織りなす新機軸のライブステージです。終戦間近、音楽学校出身の二人の特攻隊員が、佐賀県鳥栖市にある学校を訪れ、「最後に思いっきりピアノが弾きたい」といって鍵盤をたたいたのがベートーヴェンの「月光」。明日、特攻に行くというのに、爆弾を抱えて飛び立つというのに、どんな思いでピアノを弾いたのだろう。根岸さんの弾く「月光」第一楽章に涙を誘われます。


迫真の朗読

 「死ぬときは一緒だぞ」固く誓った二人。一人はそのまま沖縄の空に散り、一人は飛行機の不調で引き返して命を長らえた。生き残った一人も戦後、「死ぬべき命を生きてきた」と苦悩した。途中、特攻隊員の遺書や手記、家族への手紙なども朗読され、会場では思わずすすり泣きされる声も聞かれました。かたくなに多くを語ろうとしなかった生き残りの彼も、最後には自分が真実を後世に伝えていかなければならないと当時を振り返り、ラストに「月光」の第一楽章から第三楽章までを根岸さんが万感の想いを込めて奏でました。


根岸さんのピアノ演奏

 劇団東演は昭和34年創立、「月光の夏」をはじめ「どん底」や「飛べイカロスの翼」などの代表作があり、国内はもとより海外でも高い評価を得ています。下北沢に拠点の小劇場「東演パターラ」を持ち、ことし創立50周年を迎えます。一方、ピアニストの根岸弥生さんは、ウィーン国立音楽大学ピアノコンサート科に飛び級で入学した逸材で、第12回ベートーヴェン国際ピアノコンクール・セミファイナリスト。自ら「ベートーヴェン弾き」と言うほどこだわりを持っていらっしゃいます。根岸さんは公演を終え、「今日は、ベートーヴェンが弾く月光ではなく、明日はない若者が弾くという思いで演奏しました」と語ってくださいました。

 戦時中に自らが疎開経験もあるという南流山からいらっしゃった斉藤富士子さんは、「ピアノ一台と4人の朗読者。舞台には何の飾りもないのに、物語に引き込まれていくようでした。遺書や手記の朗読では、特攻隊員の若者たちには、生きていたらどんな人生があったのだろうと、涙なしには聴けませんでした」と公演が終わっても涙を浮かべていらっしゃいました。主催した「語り継ぐ平和への想い」実行委員会では、原作本の「月光の夏」(毛利恒之著、講談社文庫)を市内の全小学校・中学校23校に寄贈される予定とのことです。終戦65周年を記念した朗読劇の最後を飾るのは、終戦記念日の8月15日に生涯学習センターで行われる井上ひさし原作の「父と暮らせば」です。原爆投下から2年後の広島を舞台にした二人芝居を朗読劇で。こちらもぜひ、ご鑑賞ください。

このページに関するお問い合わせ

ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ