ぐるっと流山 鰭ケ崎おびしゃ行事

ページ番号28920 更新日 平成28年1月22日

鬼を祓う紅白の矢 300年の節目の年

社殿の前に並ぶ七福神の写真

 平成28年1月20日、鰭ケ崎の雷神社で「鰭ケ崎おびしゃ行事」が行われました。この行事は、かつては1年の当番7人が耕作した備社田(神社が所有する田んぼ)で収穫された米や野菜を奉納し、五穀豊穣や家内安全を祈願する行事でした。現在では、備社田の耕作はありませんが、祝詞奏上、玉串奉天、トウ渡し、的撃ち、直会(なおらい)、送り込みなどの一連の儀式が江戸時代の享保年間(1716年)から脈々と受け継がれ行われており、昭和52年には市内初の市指定無形民俗文化財に、平成6年には県の記録選択文化財となっています。今年はちょうど300年目に当たります。


大勢の見物客が的撃ちを見守る写真

 「おびしゃ」は弓を射る「歩射(ぶしゃ)」からきているといわれる、利根川流域で多く見られる正月行事です。鰭ケ崎のおびしゃは、多くの行事が土日に行われるようになっている中、曜日に関係なく毎年必ず1月20日に行われています。両側をマンションに囲まれ、住宅地の中にひっそりとたたずむ会場の雷神社。新聞社やJ:COMなどの取材のほか、儀式が始まる午後3時には、カメラを持った一般の見物客も多数訪れました。


社殿内の儀式の写真

 平成22年から始まった、行事の前に鰭ケ崎小学校に七福神が出向く課外授業は今年も行われました。社殿では、諏訪神社の古谷和史宮司による祝詞奏上や玉串奉天から始まり、続いて、新旧の7人の当番が引き継ぎを行う「トウ渡し」の儀式。色鮮やかな衣装を身にまとった旧当番の七福神と、裃に身を包んだ新当番が向かい合い、神酒を酌み交わして引き継ぎを行います。当番の中心となる「初戸(ハナト)」は、山崎直樹さん(娘婿のジェイソンさんが代理)から小野貞弘さんへと引き継がれました。


見事射ち抜いたジェイソンさんの写真

 そしていよいよ儀式の最大の見所でもある「的撃ち」の始まり。大勢の観客が見守る中、拝殿から鳥居側に据えられた赤鬼・青鬼の的に向かって紅白の弓矢で射抜きます。的を射ぬくのはなかなか難しいのですが、見事、初戸代理のジェイソンさんが勢いよく的を射ぬくと、ワッと歓声が上がり行事を盛り立てました。なお、鬼の的は現在は印刷ですが、かつては当番の方の手描きで、毎年変わる鬼の表情がなかなか味わい深かったといいます。
見事的撃ちを成功させたジェイソンさんは「鬼を退治すれば、流山市もよい年になると思い、頑張りました。義務を果たせてよかったです」と話してくださいました。


送り込みで町内を歩く写真

 的撃ちのあとは「送り込み」です。送り込みは、花で飾られた軽トラックに酒樽や味噌樽、おびしゃに使う道具などを乗せ、七福神や護持会の皆さんの先導で、道具を引き継ぐ儀式です。従来、送り込みは行事の最後に行われていましたが、今年から直会(なおらい)の前に行われるようになりました。七福神の皆さんが、「五穀豊穣」「家内安全」などと書かれた大きな傘を天高くつきあげながら、「オー」「送り込みだよー」と声を上げ、町内をぐるっと回りました。


直会の会場の写真

 神社に戻ると直会(なおらい)が始まります。直会は、行事で奉納したものを皆で食べる宴会のようなものです。上座には、大根の胴にねぎの首を付けた鶴と、聖護院大根の体にゴボウの頭を付けた亀の飾りが置かれ、氏子の皆さん、新旧の当番が左右の席に分かれます。前年の初戸である山崎直樹さんの代理のジェイソンさん(44歳)は、ニュージーランド出身。日本にお住まいになってからは13年とのことです。ジェイソンさんは「責任を感じながらも本日の行事を楽しみ、家族のために責任を果たしました。出身国にも伝統文化があるので、日本の伝統文化も形は違っても変化を感じずにできました」と話してくださいました。
 また、今年の初戸である小野貞弘さんは、「先輩方に教わりながら、今年の七福神7人で協力し合って、全員健康で1年間務めたいと思います」と決意を口にしました。


獅子舞の写真

 しばらくすると恒例の赤城保存会によるお囃子と神楽の奉納です。獅子舞が威勢よく座敷の中を舞うと、次々におひねりが投げ込まれ、列席者の頭を噛むなどして回ります。おひねりを獅子の口の中に放り込んだり、わざと遠くに投げてみたりと、獅子舞とのひょうきんな掛け合いを見せたりし、笑いを誘います。


狐とひょっとこの掛け合いの場面の写真

 次に披露した神楽は、狐とひょっとこによる「種貸し」です。狐の種まきを田吾作が邪魔する内容で、演者のひょうきんな動きに宴席は大爆笑。大いに盛り上がりました。


「送り込み」の時に小学生と握手をする宇佐見会長の写真

 その後、衣装・小道具の引き渡しが行われ、一連の儀式は幕を閉じました。鰭ケ崎おびしゃ行事保存会の会長・宇佐見憲雄さんは「行事が始まってからちょうど300年。この300年間にはさまざまな出来事があったはずですが、形を変えながらも引き継いでこれたことが素晴らしいことだと思います。また、赤城保存会の方と、伝統のあるもの同士でつながり合えることも素晴らしいと思います。次世代にも引き継ぎ、伝え続けていくことが大切です。」と話してくださいました。
 新しい7人の当番は年4回行われる「おこもり」や、分雷(わけいかづち)神社への代参など1年間のお務めを行い、来年の1月20日には、また七福神の姿を見せてくれます。


このページに関するお問い合わせ

ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ