ぐるっと流山 流山おおたかの森高校演劇部の公演

ページ番号16880 更新日 平成20年8月4日

演劇で平和の尊さ訴える 高校生が戦時中の暮らしを題材に上演

高校生が熱演

 終戦記念日を前に8月2日土曜日、文化会館ホールで県立流山おおたかの森高校演劇部による「語り継ぐべき詩(うた)」が上演されました。この公演は、公民館の高校開放講座として同校の協力を得て行われたもので、戦後60年以上が経ち戦争の痛ましさが少しずつ風化されつつある中、高校生による戦時中の暮らしを再現し平和を訴える演劇ということで、公演を前に新聞各紙にも大きく取り上げられたことから、当日は、約500人の家族連れや制服姿の高校生などが詰め掛けました。


多くの家族連れなどが来場

 この日上演された「語り継ぐべき詩」は、暮らしの手帖社の「戦争中の暮らしの記録」を基に、同校演劇部顧問の石山清貴教諭が構成・脚色したオリジナル作品で、同じく顧問の今井真樹教諭が演出を担当、生徒たちに演技指導しました。劇は、現代の女子高生が部屋を片付けているときに、戦争中の暮らしを記した本を見つける場面から始まりました。読んだ内容を想像したシーンが、次々と舞台で演じられていきました。


現代の女子高校生が本を見つけ

 戦地に送るための干し芋づくりや、学童疎開、疎開先での軍事訓練、学徒出陣を告げる赤紙への想い、そして家族を奪った昭和20年3月10日の東京大空襲・・・。ラストは、本を読み終えた女子高生が、この本は母親の本で、戦時体験のある祖母の苦労を知り平和に想いを深めたものであること、そして「わたしの子どもにもこの本を読んでもらい、平和について無言の会話をしたい・・・」とメッセージが残されていることを知ります。そして、バックミュージックにジョン・レノンのイマジンが流れる中、平和の尊さと家族の大切さを改めて考え直し、そのことを伝えるため母親を呼ぶシーンで終わりました。


エンディングでは合唱部も参加して

 会場では、イマジンの曲と女子高生の迫真の演技に涙を浮かべる方々も多くいらっしゃいました。終演後には、同校合唱部(斉藤佳子顧問)がアメイジング・グレイスを透き通る歌声で披露、さらに演劇部の部員たちも加わり、映画「天使にラブ・ソングを2」でも流れた「ジョイフル ジョイフル」をダンスも交えて合唱し、戦争という重いテーマの演劇の後に明るくエンディング。夏休み返上で練習してきた生徒たちに、会場からはいつまでも止まない拍手が送られました。


軍事訓練を熱演

 広報で今回の公演を知り、足を運ばれたという有坂斌さん(72)は、「高校生だと親も戦後生まれの方が多いと思うが、戦時中の暮らしを見事に演じていて改めて平和の大切さを感じた。効果音や選曲もすばらしく、劇としても見応えがあった」と感想を聞かせてくださいました。終戦のころは小学生だった有坂さんは、地方にいたため都会から疎開してくる方がたくさんいたことなど、当時のことを話してくださいました。


厳しい生活の中でも笑顔が

 流山おやこ劇場で活動されている磯野よう子さん(46)は、「炒りあずきを食べているシーンなどは、戦時中の悲惨な暮らしの中でもちょっとした幸せを噛み締めている様子が分かり良かった。暗いシーンばかりでなく女子学生の明るい演技がこの劇を引き立てていたと思います」と絶賛していました。「祖母は東京大空襲の前日に、奥多摩に疎開したんです。空襲警報や焼夷弾の恐怖と、代わって疎開先でのちょっとした楽しい思い出などを伝え聞きました」と磯野さんの「語り継がれた詩(うた)」も教えていただきました。


東京大空襲では家族が引き裂かれ

 公演を終えて顧問の石山教諭は、「文化会館のホールという大舞台での公演ということで、皆さんに満足いただける内容にするのに何度も台本を書き換え、生徒たちも変えられるセリフに文句も言わず集中して練習を続けてきました。今回の公演は、生徒たちにとって貴重な経験とともに、大きな自信にもつながったと思います。ご覧いただいた方々には、平和や家族、命の大切さについて考えていただくきっかけにしていただければ」と語ってくださいました。


ロビーでは原爆写真展も

 昭和62年に平和都市宣言を行っている本市ですが、この日は、ホールロビーのホワイエで「広島・長崎原爆写真・ポスター展」も同時開催しました。原爆投下直後の街の様子や被爆した人々、大きなきのこ雲など、戦争の悲惨な状況から平和の大切さを訴えています。また、5年目を迎えた「平和を祈る千羽鶴」事業では、市民の皆さんから約7万羽を超える折り鶴が寄せられました。現在、市役所で中学生を含むボランティアの方々により、糸を通して千羽鶴にまとめる作業が続けられています。この千羽鶴は、終戦記念日の8月15日に市内の小学生たちにより広島に届けられる予定です。


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