ぐるっと流山 森の図書館で栗山さんの講演会

ページ番号13427 更新日 平成21年3月1日

森の図書館で第3回森の学校

栗山さん

 2月28日、森の図書館で「栗山富郎さんをお招きして-『デラシネ』自分史刊行によせて」と題して、第3回「森の学校」が開かれ128人が参加しました。今回の講演会は、NPO法人ながれやま栞のメンバーが、地域新聞『えどがわだい版グッド・モーニング』紙の昨年10月号に紹介された栗山さんの記事を読んで感銘を受けたことから、同法人と森の図書館との共催で実現したものです。


デラシネ

 栗山さんは、東深井にお住まいの元映画プロデューサーで、大正12年鹿児島生まれの85歳。十代をソウルで過ごし、軍隊に入隊、所属部隊が野戦に出動する前夜、一人だけ原隊に残留して生き残り、戦後は組合活動でレッドパージに遭うという劇的な体験の後、東映に入社、プロデューサーとして多くの作品を手掛けました。今年1月に(株)ボイジャーより発刊された『デラシネ―わたくしの昭和史―』は、そんな栗山さんが激動の昭和を駆け抜けたノンフィクション作品で、登場人物は安部公房、寺山修司など多彩な顔ぶれです。


講演する栗山さん

 講演にあたり、栗山さんは、昨今の自分史ブームに触れ、「過ぎ去った青春を惜しむのではなく、過去を振り返り、やり残したことに挑戦し、実践することに書く意味がある」と話しました。「言葉を飾ろうとすれば伝わらない。子どもが誤字だらけで書いた文章でも、嬉しい、痛い、悲しい、といった気持ちは率直に伝わる」と、形や手段ではなく、モチベーションの大切さを説き、参加者たちにそれぞれの『自分史』執筆を勧めました。そして、自費出版を考えている方に向け、「注文に応じて1冊から作れ、返本もなく、格安で出版できる電子出版によるオンデマンド方式」を紹介しました。また、電子出版には「音読」という、視力を失った人にも読書が出来る機能があることについての紹介もありました。


講演する栗山さん

 栗山さんが自分史を書いた感想は、「まさに人生は出会いである」ということで、また、「必然を縦糸とすれば、偶然という横糸と織りなすのが人生というドラマ。それを選び取るのは個人の知性や感性です」と、自己を高め磨くための読書や芸術に触れることの大切さを呼びかけました。そして、栗山さんの場合のことばや文学、人との出会いのエピソードについて紹介がありました。


井崎市長が応援の挨拶

 「ことばとの出会い」―戦争末期の、すべてが統制され、がんじがらめになり、自分の思ったことの何ひとつ出来ない暗い時代、人びとはみな希望を失い、運命論的に人生を諦観でしか受けとめられなかったころ、栗山さんは一つの言葉に出会ったといいます。それは「拓け荒野を 拓け人生を」という言葉。栗山さんにとって、まさに天の啓示のように思われたそうです。「自分でやればいいのだ、と気づかされ。積極的に、明るく、楽しくやろうという思いがわいてきた」と当時を振り返られました。


佐野さんも挨拶

 会場には「デラシネ」に解説をお書きになった、同じ流山市在住のノンフィクション作家・佐野眞一さんもお見えになっていました。二人の出会いの元となった著書『甘粕正彦 乱心の廣野』(新潮社、2008年)から、「大杉事件の真実がやっと明らかになったように、私たちの生きている現在の状況も20年くらいしないと本当のことは分からない、長い年月をかけないと歴史の真実は出てこないのでは」と、「昭和とは何だったのか」について考察を進めているお話しがありました。佐野さんの「昭和論」については、7月4日に文化会館ホールで講演会が予定されています。


電子出版について話し合い

 講演のあとは、栗山さんがプロデューサーとして制作し、文部特選賞に選ばれた社会教育映画『思いやり』(ビデオアート/教配)を上映。同時に、別会場では栗山さんの著書を出版した(株)ボイジャーより、萩野正昭社長ほか2名が、電子出版についての質疑応答を行いました。今回、栗山さんが講演を引き受けたのは、電子出版の持つ「音読」という素晴らしい機能を多くの人に知ってもらいたい、ということがあるからだそうです。会場には音声読み上げソフトに関心を持った方が大勢お見えになり、「公共施設などに、この仕組みを取り入れていただきたい」という参加者の声も寄せられていました。会場には井崎市長の姿も見受けられました。


講演後にサイン会

 映画終了後は著書「デラシネ」の販売とサイン会がロビーで開かれ、「栗山さんのお話がとても楽しく、その時代時代を彷彿とさせました」「自分史を書いて見る勇気がわきました」「映画に心打たれました」と多くの方が栗山さんを囲みました。栗山さんは、売り上げの一部を福祉関係団体に寄付される予定だそうです。なお、今回ご紹介した写真と記事は、グッド・モーニング編集室からの投稿によるものです。


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