ぐるっと流山 パソコンマウスのゆめ展

ページ番号14635 更新日 平成21年8月19日

ハンディを越えてPCマウスで絵画 9月に森の図書館で「かっちゃん」の個展を開催

自宅療養中の戸谷さん

 全身の中で自由に動かせるのは右手の親指と人さし指だけ―。還暦を迎えた年に難病を患った「かっちゃん」こと戸谷勝國さんの個展「パソコンマウスのゆめ」が、森の図書館で開かれます。会期は9月12日土曜日・13日日曜日の9時30分から20時まで。会場は東深井の「森の図書館」(ぐりーんバス江戸川台東ルート「老人福祉センター入口」下車)です。戸谷さんは、東京都美術館に3回出品し1回入選、油絵「新魂会」元会員。平成20年度第27回肢体不自由児・者の美術展で「真夏の夜の夢花火」がNHK厚生文化事業団賞を受賞。


定年時代小川記者が取材

 昨年7月に続いて2回目の絵画展です。寝たきり生活を余儀なくされている現状にもめげず、パソコンのマウスを絵筆代わりに絵画制作に打ち込む戸谷さんの取り組みに、昨年、訪れる市民は心を揺さぶられていました。戸谷さんは、昭和19年長野県上水内郡鬼無里村生まれの流山市民です。そんな戸谷さんの制作活動や展示会の準備を側面から応援しているのは甥の中村俊之さん。そんな戸谷さんを8月18日火曜日、月刊折込紙「定年時代」の小川一郎記者が取材してくださいました。


NHK厚生事業団賞の真夏の夜の夢花火

 戸谷さんは、平成16年6月に筋肉が徐々に縮む筋委縮性側索硬化症(略称ALS)を発症。病状は急速に悪化し、歩行のみならず、話すこともできなくなりました。現在は呼吸もままならないため、人工呼吸器で生活。唾液を自動的に吸い取る持続吸引機も口にくわえていらっしゃいます。60歳になってから突然ふりかかった大きな障害。でも、生きがいは見つかりました。東葛病院職員からマウスでパソコン上に絵を描くことを勧められたのです。もともと油絵が趣味でもありました。昨年1月からほぼ毎日、愛用のボールマウスで絵を描く日々を続けています。


ボールマウスでパソコンに絵画を制作

 動かせる2本の指がふるさと長野県の自然や花々、南の島の風景などを次々と描き出します。昨年は、1週間に2枚描けていた絵が、ことしは2か月で1枚。戸谷さんのお宅を訪問させていただいていた森の図書館の職員も、戸谷さんご夫妻の明るさや前向きな姿勢に刺激され、今回の協働事業を職場で一丸となって成功させようと展示会場のセッティングや広報活動などを話し合っているそうです。


自宅療養中の戸谷さん

 色彩は明るく、筆致は温かい。家族らの支えもあり、2回目の個展開催にこぎつけました。昨年は、個人ではギャラリースペースを借りられないということもあり、戸谷さんを支えるヘルパーや看護士の皆さんが、戸谷さんのふるさと旧・鬼無里村の地名にちなんで鬼無里会という会を発足し展示会をしました。今回は、事情を知った森の図書館が共催し、展示作業やPRなども主体的に関わっています。昨年は150点もの作品が公開されましたが、展示会が終わってからお世話になった方々に差し上げてしまったことや、昨年より制作のペースが落ちていることなどもあり、ことしの個展には約60点の作品が展示される予定です。なお、取材があった「定年時代」は、9月上旬に朝日新聞に折り込まれる予定です。


ベッドで絵画制作に励む戸谷さん

 戸谷さんは「私にできることは?今は絵しかありません。週に一度、散歩で近くの公園を見に行きます。車椅子はいつもリクライニング、見えるのは空と木の枝。花は低い所に咲いていると、近づいて見ても2メートルくらい離れてしまいます。でも綺麗なんです」と準備中のパンフレットの中で呼び掛けています。9月12日土曜日・13日日曜日は、ぜひ「かっちゃんの個展~パソコンマウスのゆめ展」にお出掛けください。問い合わせは森の図書館(04-7152-3200)へ。


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