ぐるっと流山 生物多様性シンポジウム

ページ番号14364 更新日 平成21年9月24日

生物多様性を考える シンポジウムに80人が参加

生物多様性を考えるシンポジウム

 リサイクルプラザ・プラザ館で9月20日、流山市環境審議会の第2期環境行動計画策定部会主催による「ながれや生物多様性シンポジウム」が行われました。平成21年度中の策定を目指し、現在作業が進められている「(仮称)生物多様性ながれやま戦略」のキックオフイベントとして開かれたもので、市内環境団体や環境について学ぶ学生など約80人が参加しました。生物多様性については昨年6月、国による基本法が施行され、国家的にもその危機と重要性についての議論が高まっています。


戦略についての説明

 はじめに、市環境政策課の飯泉課長から「今なぜ、ながれやま戦略なのか」と題して、策定作業が進む(仮称)生物多様性ながれやま戦略について説明がありました。この戦略は、「オオタカがすむ森のまちを子どもたちの未来へ」を理念に据え、「生物多様性の保全と回復に関する戦略」「生物の多様性の価値の持続可能な利用に関する戦略」「環境教育・学習に関する戦略」「基盤情報整備に関する戦略」の4つを基本戦略として、多くの生きものが生息・生育する多様な環境~水と緑の回廊と地域の生態系ネットワークの構築~を目指しています。策定部会長で、この日の進行役を務めた新保國弘さんは、「市町村レベルでの戦略策定は、おそらく全国初では」とおっしゃっていました。


内田さんがトップバッターで発表

 続いて、生物多様性につながる様々な活動をされている10人の方々から発表がありました。トップバッターはNPOさとやまの会員の内田金治さんで、「流山市の蝶類」にスポットを当てた発表でした。過去10年間に市内で確認された蝶の種類は59種で、日本に生息する蝶250種のうち約4分の1に当たるそうです。また、千葉県の絶滅の恐れのある野生生物を掲示したレッドリストに挙げられている、32種の蝶のうち17種が市内で確認されており、Aランクに指定されている「オオウラギンスジヒョウモン」も生息しているとのことでした。内田さんは、蝶は自然の豊かさの指標であり「蝶の多い街にしましょう」と訴えました。


約80人が参加

 NPOホタル野の田端裕秋さんは、「生きものいっぱいの稲作とホタル~ふゆみず田んぼ&不耕起栽培の試み」と題し、NPOホタル野の活動を紹介。秋も冬も水を張る「ふゆみず田んぼ」は、食物プランクトンやイトミミズが大量発生し、トロトロ層が形成され光を遮断するため抑草作用もあるとのこと。強い稲ができるばかりでなく、草が生えづらく除草剤も使わないため、さまざまな生物も生息しホタルも飛躍的に増えているそうです。田端さんは、原生生物の底辺を大きくすることで、生態ピラミッドが高く積み上がり生物多様性につながると説明しました。


相澤さんは広範囲での視点を強調

 千葉大学大学院自然科学研究科で学ぶ相澤章仁さんは、流山市に隣接する松戸市の根木内歴史公園で、市民ボランティアと一緒に約1ヘクタールの湿地の植生調査を行っているそうで「生物多様性と市民による生き物調べ」と題して発表。相澤さんは、生物多様性を考えるときには、自分の周りだけを見ていては駄目で市民によるネットワークを作りみんなで調査をしていくべき。そして、自然の境界線と行政界は違うので、行政界という枠を越えて他の自治体と連携した取り組みが必要。流山だけの多様性を考えるのではなく東葛地域、千葉県、関東、日本全域を視点に入れて・・・と呼びかけました。


チェーン除草を勧める吉田さん

 他には、吉川市にお住まいで野鳥の保護・調査活動を続ける紺野竹夫さんが「生きものいっぱい・森と谷津田」について、利根運河の生態系を守る会の柳沢朝江さんは「利根運河(理窓公園)の植生調査結果から」について、チェーン除草で農薬に頼らない米作りを進める吉田篤さんは「新川耕地における市民との協働による有機農業の提案」について、鰭ケ崎小学校教諭の永森正治さんは「小学校自然観察学習から生物多様性への一考察」について。


カワヒバリガイ分布拡大を研究

 温暖化防止ながれやま代表の平手彰さんは「こどもの目から見た大堀川の自然観察会」について、江戸川大学ライフデザイン学科4年の高橋佑太朗さんは「大堀川における外来生物カワヒバリガイの分布拡大」について、NPOホタル野の手島勝さんは「生物多様性の視点で考える桜と蛍と佐渡のトキ」について、それぞれの立場で生物多様性についての発表がありました。すべての発表を聴くと、ひと口に生物多様性といっても様々な角度からの捉え方があることがよく認識できたシンポジウムとなりました。


策定部会のメンバーと意見交換

 最後に意見交換の場も設けられ、参加者から「農業の振興と生物多様性は切り離せない問題」「グリーンチェーン戦略や健康都市宣言もからめて流山独自の戦略に」「利根運河堤防の草刈りの時期や回数も生物に影響を与える」などの意見が出され、活発な議論が交わされました。生物多様性に関する戦略策定のキックオフイベントと銘打ってのシンポジウムでしたが、さらに機運を高めながら今年12月には戦略ついてのパブリックコメントも行い、平成21年度中の策定を予定しています。


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