ぐるっと流山 小説「えんぴつ心中」出版

ページ番号6793 更新日 平成22年6月21日

利根運河通水120年記念 小説「えんぴつ心中」を出版 記念朗読会に30人、遺稿なども展示中

小説「えんぴつ心中」の紹介の写真

 今年は利根運河通水120年。利根運河交流館を管理運営するNPO法人コミュネット流山では、これを記念して6月18日の"利根運河の日"に、地元西深井の俳人・(故)窪田寅雄氏による小説「えんぴつ心中―利根運河開さく史異聞―」を出版しました。翌6月19日(土曜日)には利根運河交流館で、出版記念セレモニーと杉江悠子さんによる朗読会も行われました。


月刊タウン誌「流山わがまち」の写真

 「えんぴつ心中」は月刊タウン誌「流山わがまち」(昭和54年4月から平成2年11月まで"流山わがまち社"(山本文男発行人)で、平成2年9月から11月号に利根運河通水100年を記念して掲載された作品。明治期の深井村の名主安藤清右衛門の屋敷を舞台に幕を開ける小説で、運河開削の発案者は、正史では茨城県の広瀬誠一郎となっているが、実は名主清右衛門の息子清太郎(14歳)という少年であった…というドラマチックな筋立てで、千葉県令船越衛、茨城県北相馬郡長広瀬誠一郎などが実名で登場するフィクションです。


小説「えんぴつ心中」の写真

 今回出版された小説「えんぴつ心中」は、A5版108ページで1冊500円。江戸川台の商店街の中にあるアンテナショップ江戸川台で販売されています。要所には、西初石中学校の美術教諭・石原重人さんの優しいタッチの挿画もあり、小説を引き立てています。また、印刷・製本は、初石公民館で「キッチンよつば」を運営する社会福祉法人よつばが、障害者の新たな職として挑戦しました。なお、小説の売り上げの一部は、同法人へ寄付される予定です。


出版記念セレモニーの様子の写真

 この日の出版記念セレモニーには、作者の窪田寅雄氏のご遺族の窪田芳夫さんや初めて「えんぴつ心中」をタウン誌に掲載して世に出した山本文男さん、窪田氏と親交の深かった元流山市長の秋元大吉郎さんなど約20人が参加しました。1人ずつ窪田さんや利根運河との関わりなどを語りましたが、山本さんは20年前にどういった経緯で「流山わがまち」にこの小説が載ることとなったかを簡単に解説されました。詳しくは、今回出版の小説のあとがきとして記されていますが、この話も1つの小説のような物語です。


出版記念セレモニーの様子の写真

 窪田さんが昭和63年に亡くなられるまで、35年にわたり俳句仲間として深い親交のあった秋元さんは、窪田さんの句をいくつか紹介。「衣更へて肌につめたくある手紙」「レールやがて音もち来る暁の霜」「人は死へ一徹にして豪華な露」。いずれも昭和25年頃の作品とのことで、「この頃の窪田さんは一番光っていた。小説えんぴつ心中も、背景といい文脈といい、きっとこの時期、35歳頃の時に書かれたものではないか」と説明されました。


朗読会の様子の写真

 続いて行われた朗読会では、「キッチンよつば」で定期的な朗読会を開催し好評の杉江悠子さんが、えんぴつ心中の最終章を情感たっぷりに読み上げました。「わたし、鉛筆を持っているんです。ここに売られてくるときに、自分で自分へのはなむけのつもりで、鉛筆というものを買ってまいりました・・・」。そして迎える悲しい結末に、集まった約30人の方々も涙ぐんでいらっしゃいました。この日の様子は、JCNコアラ葛飾でも取材され、6月24日(木曜日)のデイリーニュースで、「えんぴつ心中」出版についての特集として紹介される予定です。


展示物の写真

 なお、利根運河交流館では、7月17日まで出版記念展示会も開催しています。窪田寅雄氏の「えんぴつ心中」遺稿や、戦時中、家族に宛てたハガキ、トヨ夫人の通水100年記念論文「いのちの水を運ぶ河」の原稿ほか、窪田さんが営んでいた雑貨屋"くぼたや"の金銭出入帳、利根運河株式会社の「堤使用料通知書」、20年前に同小説が掲載された月刊タウン誌「流山わがまち」などが展示されています。くぼたやの金銭出入帳は明治15年から昭和8年までのものが現存しているそうで、窪田芳夫さんは「当時の人々の暮らしを垣間見ることの出来る資料として今後、役立てたい」と語っていらっしゃいました。問い合わせは利根運河交流館(電話:04-7153-8555)まで。


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