ぐるっと流山 市野谷調整池

ページ番号6721 更新日 平成22年4月14日

セイタカシギの生息する市野谷調整池  生物の生育環境を保全したお引越し

流山おおたかの森駅近くの調整池の写真

 4月13日、流山おおたかの森駅から程近い「市野谷調整池」で、水生生物などの移植作業が行われました。当日は、UR都市機構やNPOさとやまなどの関係者のほか、江戸川大学ライフデザイン学科の学生5人など、約50人が参加しました。


江戸川大学の学生たちも参加しての調査の写真

 市野谷調整池は、UR都市機構が施行する流山新市街地地区の土地区画整理事業の一環として現在暫定的に整備されており、元々は、雨水を貯めて坂川に放流するためのものです。本整備に際し、深さをさらに3メートル程度掘削する必要がありました。ところが、整備計画を進める中、一昨年9月ごろから国に絶滅危惧種に指定されているセイタカシギの生息が確認されました。


恵良さんが説明している様子の写真

 セイタカシギは、体長が30センチから40センチほどで、湿地、干潟、湖沼や水田などに生息する脚の長い水鳥。「水辺の貴婦人」と呼ばれ、県内では、習志野の谷津干潟などで生息が確認されています。当時、セイタカシギの生息と4羽の幼鳥の確認を知らされたNPOさとやまの恵良好敏さんは「まさか」と思ったと言います。


生き物調査の写真

 元々、市野谷調整池は約40種の野鳥や水生生物が確認されていた自然の宝庫。NPOさとやま、UR都市機構、流山市での整備計画の再検討により、全国的にも珍しいミティゲーション手法を取り入れての整備計画となりました。ミティゲーション手法は、環境影響を軽減する保全行為(回避、最小化、代替、修復)を取り入れての開発手法の1つです。


水生生物を捕獲した写真

 計画は、市野谷調整池の水、水生生物、ベントス(水底に生息する生物の総称)、ヨシやガマなどの水生植物を隣接する暫定調整池に移植し、掘削後、再度移植作業を行い、市野谷調整池に戻すものです。作業は、せき止めた水の移動、ポンプ車でのベントスの移植、重機でのヨシやガマの移植が行われたほか、江戸川大学学生による、水生生物の捕獲作業も行われました。


重機を使って調査の写真

 今回の移植は、UR都市機構も初めての手法ということもあり、多分に実験的な部分もあるそうで、NPOさとやまの恵良さんは「現在の水生植物が繁茂する環境を作るのには通常5年はかかるでしょう。自然と新市街地が共存できる環境に配慮した今回の計画は、全国に発信できる実験の場ともなります」と話していました。


上空をオオタカが舞っている写真

 また、この日学生により捕獲された水生生物は、タモロコ、モツゴ、カダヤシ、マツモムシなど。メダカは1時間弱の捕獲作業で500匹以上も捕獲されるなど、市野谷調整池が生物にとって豊かな自然環境であることが確認されました。残念ながら、カモなどの水鳥は人の気配を感じたせいか移動してしまったようですが、移植作業の終わり間際には、上空にオオタカが確認され、参加者は声を上げて喜んでいました。


作業を終えた後の写真

 江戸川大学ライフデザイン学科2年の大木文雄さんは「元々環境問題に関心がありました。日本の自然のあり方など考えさせられるきっかけになりました」と話せば、同4年の大舘辰矢さんは「自治体やUR都市機構がこういった機会を学生に与えるのは非常に有意義なことですね。実際のフィールドワークで分かることがたくさんありました」と話してくださいました。


このページに関するお問い合わせ

ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ