ぐるっと流山 佐野眞一講演会

ページ番号6626 更新日 平成24年3月12日

ノンフィクション作家・佐野眞一講演会 3.11から1年~震災から日本を考える~

佐野眞一講演会「3.11から1年」

 東日本大震災の発生から1年。文化会館で、市内在住のノンフィクション作家・佐野眞一さんを招いての講演会「3.11から1年~震災から日本を考える~」が3月10日行われました。大震災発生から1週間後に三陸入りし更に立ち入り禁止の福島第一原発近くを歩いた佐野さんは、昨年7月には講談社から「津波と原発」を出版。ノンフィクション作家の第一人者としての鋭い感性で、震災直後の被災地の現状を明らかとしたセンセーショナルな内容が話題を呼びました。


被災地を歩く佐野さん

 会場となった文化会館ホールが、ほぼ満席となる約700人が来場。佐野さんの講演に耳を傾けました。講演ではまず、佐野さんが大震災の発生1週間後に三陸や原発近くを訪れた現場の写真や動画がスクリーンに映し出され、1枚1枚の写真について、その時の状況や感じたことを話してくださいました。特に満開の桜が咲く街に一人の人間もいない異様さに、佐野さんは衝撃を受けたといいます。「今年も、原発近くの町では桜が満開になるでしょう。でも、この桜を見る人はだれもいない。そして10年後、20年後、あるいは50年後もいないかもしれない。原発事故とはそういうもの」との認識を示しました。


講演する佐野先生

 佐野さんが、東日本大震災について一番感想を聞きたかったのはソフトバンク社長の孫正義氏だそうです。ソフトバンク本社で長時間にわたるインタビューの中で、特に感動した言葉として紹介してくださったのが、100億もの義援金を寄付した孫氏が語った「自分は何て非力なんだろう、力が無いんだろう」という言葉とのこと。佐野さんは、「もっと他にこの言葉をいわなければならない人間がいる。日本自体がメルトダウンしかかっている」と警鐘を鳴らしました。


「3.11から1年」タイトル

 さらに、原発再稼働の問題に触れ、「今後の日本で、原発が本当に必要なのか、必要ならばどれぐらい必要か、について十分な議論も尽くさないうちに、なし崩し的に再稼働してしまうのはいけない。この問題は、国民的な議論が必要である」と訴えました。また、「日本の近代の150年に及ぶ歴史は、この震災で一度ピリオドを打たれた。私たちは、そういう認識を持たなければいけない。それぐらい大きな出来事だった」と語られました。


客席はほぼ満席に

 講演の最後に佐野さんは、俳優の菅原文太さんを取材した際に、息子さんを事故で亡くされたことについて聞くと「菅原さんは、『立ち直れねえよ』と普通の語り口で返してきた」という話を引き合いに、「人はそう簡単に立ち直れるものではない。だから、安易に『頑張ろう』『一つになろう』といった言葉は使わない方がいい。被災者を傷つけるだけだ。自然とかさぶたができる。まだ、傷口から血がながれている状態。これが治っていくにはしばらく時間がかかる。では何をすれば良いか。一番大事なのは、一人ひとりの3・11を記録すること。自分の中に刻むこと。そして今日、1年が経過して自分がどう変化したかを考えるだけでも違う。そうすることで、押しつけではない希望というか光が見えてくると思う」と締めくくりました。


講演する佐野先生

 佐野さんは、東京都出身。早稲田大卒。平成9年に「旅する巨人─宮本常一と渋沢敬三」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。さらに一昨年の平成21年には、「甘粕正彦 乱心の曠野」が講談社ノンフィクション賞を受賞しました。他にも、新証拠で再審となるかと話題になっている「東電OL殺人事件」や「巨怪伝─正力松太郎と影武者たちの一世紀」、「カリスマ─中内功とダイエーの『戦後』」、「だれが『本』を殺すのか」など、多くの話題作、問題作があります。 近著では、今年1月に出版した「あんぽん 孫正義伝」(小学館)が好評です。


購入された著書にサインを

 講演会終了後、ロビーで最新作「あんぽん 孫正義伝」と「怪優伝 三國連太郎・死ぬまで演じ続けること」を購入され、佐野さんからサインをいただいて満足顔だった、加3丁目の須恵良明さんは、「東日本大震災が日本にもたらした影響は計り知れないと思う。佐野さんのお話を聞いて、特に原発の問題は、日本の将来を左右することになるので、良く議論して決めて欲しいと思った。自分自身も、改めて何ができるか考える、今日は良いきっかけとなりました」と語ってくださいました。この日の様子は、JCNコアラ葛飾でも取材され、12日(月曜日)のデイリーニュースで紹介される予定です。なお放送後は、ホームページのBBコアラのコーナーでもご覧いただけます。


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