ぐるっと流山 ドイツでのオオタカワークショップ

ページ番号7645 更新日 平成23年5月23日

日独の子どもたちが描く絵巻

ワークショップの写真

 5月21日、ドイツの都市、デュッセルドルフ市にある美術館「クンストハーレ現代美術館」で、オオタカの絵を描くワークショップが行われました。昨年夏に生涯学習センターで開催した「夏休み子ども体験教室」のひとつ、「流山鳥獣絵巻~おおたかの群れを描こう!」という子ども向けワークショップのドイツ版です。今年は、ドイツと日本の交流150周年記念の年。クンストハーレ現代美術館が主催となって、日本の美術作家によるグループ展を企画。「昭和40年会」という日本の美術家グループの「ウィー・アー・ボーイズ」という展覧会がドイツで5月21日から開催されています。


ドイツの子どもが絵を書く写真

 デュッセルドルフ市は、ドイツの中でも屈指の大都市。日本企業が多く入っている土地柄もあり、5月21日からの1週間は、「日本週間」となり、日本の文化や産業を紹介するさまざまな催しが企画されています。昭和40年会は、6人の美術家グループで、その中のひとりが、昨年夏に流山でワークショップの講師を務めたパルコキノシタさん。展覧会では、6人全員に広い展示スペースが与えられ、そのスペースを各自の作品で飾るというもの。そうした中、パルコキノシタさんが選んだ作品は、流山の子どもたちが共同制作した巨大な絵巻。


ドイツの子どもの写真

 流山の子どもたちと同じワークショップをドイツの子どもたちと行い、ドイツ版の「おおたか絵巻」を作り上げました。流山の子どもたちが作った作品と、ドイツの子どもたちとで作った作品を展示して、日本とドイツで出来上がった作品にどのような違いがでてくるのか、という点をみせる作品展示になりました。そのほかにも、自身で作った作品やビデオ映像なども展示されます。


ドイツの子どもが作成したおおたかの絵

 ドイツの子どもたちとのワークショップは、展覧会開始前の5月19日から開催されました。ワークショップには28人の子どもたちが参加。地元小学校の3年生の児童が、思い思いにオオタカを大きな画面いっぱいに飛び散らせ、たくさんのオオタカを描きました。今回の描き方は、日本と全く同じ方式で、水墨画のように描きました。材料はドイツで用意するため、日本では墨汁と水を使いましたが、ドイツでは黒いインクと水、そして筆や竹ペンを使用しました。ドイツの子どもたちには、美術家のパルコキノシタさんから「日本のお友達は、一人100羽描きました。みんなもそれくらいたくさん描きましょう。そして元気よく、大きな紙いっぱいに羽ばたかせましょう」とアドバイスし、流山の絵やオオタカのスライドや写真資料を見せながら描き始めました。


絵をみるドイツ人の写真

 ドイツの子どもたちは、流山の子どもたちが描いた絵を見ながら、一羽一羽丁寧に描いていきました。朝の9時から午後1時まで、休憩中はパルコキノシタさんがオオタカにまつわる話をし、子どもたちは静かに耳を傾けていました。「タカは昔から日本の殿様やサムライが大事にしてきた鳥で、強さのシンボルでした。それはドイツも同じです。日本とドイツはとても似ているところがあると思いました」また、「日本の千葉県には、このオオタカの名前がついている街があります。そこで、日本のお友達とオオタカを紙いっぱいに描いて羽ばたかせてみよう、というワークショップを行いました。それが、みんなに見てもらった作品です」。パルコキノシタさんの話を、子どもたちはとてもしっかりと聞いていました。


展覧会の写真

 完成に近づくと、最後の仕上げとして、日本画風に仕上げるために、金色の紙を切って、思い思いのところに糊で貼り付けていきました。完成したときには、子どもたちから歓声があがり、大きな作品を大人たちが4人がかりで壁に飾り、作品が展示されました。全長12メートルの絵が、ドイツと流山の子どもたちが描いた絵が2枚、並べられて展示されています。子どもたちに感想を聞くと、「とってもおもしろかった!」と興奮していました。制作中に見せる笑顔や興奮する様子は、国境や人種を超えて全く同じ。日本の子どもたちとドイツのこどもたちが、全く同じテーマの絵を描くことで、ドイツの子どもたちは日本を身近に感じるひとときだったようです。


美術館の写真

 美術館の計らいで子どもたちにA4サイズの紙がプレゼントされ、「自分で描いたタカの絵をお母さんに持ち帰っていいよ」と言われると喜んで絵を描きだしました。中にはパルコキノシタさんにプレゼントするための絵を描き、「ダンケ(ありがとう)」と言いながら絵を手渡している子も。絵の中には、「I LOVE JAPAN」と描かれた絵もあり、パルコキノシタさんの似顔絵を描いてプレゼントする子どもたちもいました。また、手首に白いひものようなブレスレットをしている男の子がいました。「これは日本の津波で苦しんでいる日本の人たちのために、日本が元気になるように願いをこめてつけてるんだ。日本が元気になるまでは、この腕のひもはとらないって決めたんだ」と言う子どもの姿もありました。5月21日から始まった展覧会では、入口を入るとすぐに大きな展示空間に、この日本とドイツの巨大絵巻を見ることができます。この展覧会で制作したドイツの子どもたちの絵を、生涯学習センターでも見られる日が来るかも知れません。


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