ぐるっと流山　市民芸術劇場川井郁子コンサート

流山市民芸術劇場でヴァイオリンコンサート

　弦に弓を下ろした瞬間から、一変するその迫力の演奏を生のステージで聴けるヴァイオリンコンサートが9月16日、流山市文化会館で行われました。クラシック音楽で、テレビ、ラジオに自身の番組を持っている数少ないアーティストの一人、ヴァイオリン奏者・川井郁子さんをお迎えしてのチャリティコンサートに600人を超えるファンが駆け付け、優れた感性と確かな表現力を堪能しました。この日は、フェビアン・レザ・パネさんのピアノと、堀沢真己さんのチェロとのトリオでコンサートが展開されました。

　流山市民芸術劇場して開催されたものです。主催者の流山市民芸術劇場実行委員会（田口佳子委員長）は、流山ロータリークラブ、流山ライオンズクラブ、流山青年会議所、流山中央ロータリークラブの4団体が市教委との協働で、昭和60年から続け、今回で68回目を迎えました。実行委員の皆さんは、日頃はご自身の仕事をされながら、定期的に集まって出演者や演目の企画からチラシづくりやポスター掲示、費用負担、会場設営や駐車場案内に至るまで手づくりで芸術劇場を支えてくださっています。

　今回のコンサートは、東日本大震災被災地復興支援チャリティとして企画されチケット収入の一部と、会場に設置された募金箱に寄せられた浄財を流山市の姉妹都市でもある福島県相馬市へ寄付させていただきます。昨年9月、第67回流山市民芸術劇場中村紘子チャリティピアノリサイタルに続いて、クラシック音楽を楽しみ、一方で災害応援協定を結んでいる姉妹都市を応援しようという実行委員の皆さんのご提案で続けられています。楽器の中で最も人の声に近いと言われるヴァイオリンの音色が被災地の方々の心に届くことを願って企画されました。

　第一部では、白いドレスで登場した川井さんが、「リベルタンゴ」（ピアソラ）でオープニング。「エル・チョクロ」（ビジョルド）に続いて、作曲家としてもご活躍の川井さんは、「水百景」、「パッション・イン・ブルー」、「ブルー・ティアーズ」と自ら作曲した曲を披露。日本語の歌詞で歌われ広く知られるようになったホルストの「ジュピター」、そして、「チャルダッシュ」（モンティ）が演奏されました。

　川井さんは、東京芸術大学卒業、同大学院を修了し、大阪芸術大学教授。国内外の主要オーケストラや世界的コンダクターのチョン・ミョンフンとの共演の他、クラシックの枠を超え、ジャズやポップスなど他分野の音楽、更には舞踏などの芸術とのコラボレーションを行っています。また、作曲家としてもTV番組やCM、舞台音楽、映画音楽の分野でも活躍されています。使用された楽器はアントニオ・ストラディヴァリウス（1715 年製作、大阪芸術大学所蔵）。

　休憩を挟んで、青いドレスで舞台に登場した川井さんは、「ラ・クンパルシータ」（ロドリゲス）で第2部を幕開け。ショパンの「ノクターン第20番　嬰ハ短調“遺作”」からご自身が作曲された「大洋～オーシャン」、再びショパンの「別れの曲」、そして、映画のために作曲された「北のカナリアたち」を、制作エピソードを交えながら披露。「ホライズン」（チャイコフスキー）に続き、川井さんの代名詞のように言われている「恋のアランフェス“レッド・ヴァイオリン”」（ロドリーゴ）を熱演。大きな拍手に迎えられアンコールでは、エルガーの「愛の挨拶」を演奏、田口実行委員長から花束が贈られました。

　主催された実行委員会の皆さんは、コンサートが終わって、サイン会などを経てお客様がお帰りになってから、会場の片づけ等を行い、早くも次回、第69回流山市民芸術劇場の計画などについて協議されていました。来年秋にどのようなジャンルの方を身近な会場にお招きして、安価で一流の舞台に接する機会をご提供いただけるのか期待が寄せられています。実行委員会では、今回のアンケートやこれまでの実績等を参考に企画していくそうです。次回の演目等は決まり次第、ホームページや市広報紙などでお知らせする予定です。

　今秋の流山市文化会館では、市教委と市民団体との協働で、10月23日19時から「アンサンブリ・ベルリン2012in流山」が予定されています。世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルのメンバーによる公式室内楽グループ来日記念コンサートです。ストリングス、オーボエ、ファゴットが繰り広げる極上のチェンバー・ミュージックを身近な流山市文化会館でお楽しみください。また、ヴァイオリンのコンサートとして、流山市生涯学習センターでは、10月14日19時から「カンタービレコンサート2012 in 流山」を開催します。映画「のだめカンタービレ」にも出演されたパヴェル・エレットさんのヴァイオリンコンサートです。お問い合わせは、流山市生涯学習センター04-7150-7474へ。