ぐるっと流山 鰭ケ崎おびしゃ行事

ページ番号24416 更新日 平成27年1月23日

鬼を祓う紅白の矢 300年以上続く伝統行事

おびしゃ行事

 平成27年1月20日、鰭ケ崎の雷神社で「鰭ケ崎おびしゃ行事」が行われました。この行事は、かつては1年の当番7人が耕作した備社田(神社が所有する田んぼ)で収穫された米や野菜を奉納し、五穀豊穣や家内安全を祈願する行事でした。現在では、備社田の耕作はありませんが、祝詞奏上、玉串奉天、トウ渡し、的撃ち、直会(なおらい)、送り込みなどの一連の儀式が江戸時代の享保年間(1716年)から脈々と受け継がれ行われており、昭和52年には市内初の市指定無形民俗文化財に、平成6年には県の記録選択文化財となっています。


鰭ケ崎の雷神社で行われる

 「おびしゃ」は弓を射る「歩射(ぶしゃ)」からきているといわれる、利根川流域で多く見られる正月行事です。鰭ケ崎のおびしゃは、多くの行事が土日に行われるようになっている中、曜日に関係なく毎年必ず1月20日に行われています。両側をマンションに囲まれ、住宅地の中にひっそりとたたずむ会場の雷神社。新聞社やJ:COM東葛葛飾などの取材のほか、儀式が始まる午後3時には、カメラを持った一般の見物客も多数訪れました。


トウ渡しの儀式

 平成22年から始まった、行事の前に鰭ケ崎小学校に七福神が出向く課外授業は今年も行われました。社殿では、諏訪神社の古谷和史宮司による祝詞奏上や玉串奉天から始まり、続いて、新旧の7人の当番が引き継ぎを行う「トウ渡し」の儀式。色鮮やかな衣装を身にまとった旧当番の七福神と、裃に身を包んだ新当番が向かい合い、神酒を酌み交わして引き継ぎを行います。当番の中心となる「初戸(ハナト)」は、鈴木孝雄さんから山崎直樹さんへと引き継がれました。


的撃ち

 そしていよいよ儀式の最大の見所でもある「的撃ち」の始まり。大勢の観客が見守る中、拝殿から鳥居側に据えられた赤鬼・青鬼の的に向かって紅白の弓矢で射抜きます。的を射ぬくのはなかなか難しいのですが、今年は見事、今回の七福神・寿老人の芳野靖男さん、JA東葛中央南流山支店長・山本昭夫さん、井崎市長の3人が的を射ぬき、行事を盛り立てました。なお、鬼の的は現在は印刷ですが、かつては当番の方の手描きで、毎年変わる鬼の表情がなかなか味わい深かったといいます。矢を当てた芳野さんは「なかなか当たらないものなので、当てられれば自分にとっても、みんなにとってもいい年になると思って射ました」と話してくださいました。


送り込み

 的撃ちのあとは「送り込み」です。送り込みは、花で飾られた軽トラックに酒樽や味噌樽、おびしゃに使う道具などを乗せ、七福神や護持会の皆さんの先導で、道具を引き継ぐ儀式です。従来、送り込みは行事の最後に行われていましたが、今年から直会(なおらい)の前に行われるようになりました。七福神の皆さんが、「五穀豊穣」「家内安全」などと書かれた大きな傘を天高くつきあげながら、「オー」「送り込みだよー」と声を上げ、町内をぐるっと回りました。


直会(なおらい)

 神社に戻ると直会(なおらい)が始まります。直会は、行事で奉納したものを皆で食べる宴会のようなものです。上座には、大根の胴にねぎの首を付けた鶴と、聖護院大根の体にゴボウの頭を付けた亀の飾りが置かれ、氏子の皆さん、新旧の当番が左右の席に分かれます。前年の初戸の鈴木孝雄さんは、一年間、無事初戸を務めあげた感想を「大変な気苦労と責任がありました。7人の協力がなければとても勤め上げられませんでした。七福神の衣装を身にまとうと気が引き締まりますね。今はほっとしています」と話し、美味しそうにお酒を飲みました。また、今年の初戸である山崎直樹さんの奥さんの純子さんは「先輩方におわ割りながら、伝統ある行事を7軒で仲良く楽しくしっかりと引き継いでいきたい」と決意を口にしました。


獅子舞

 しばらくすると恒例の赤城保存会によるお囃子と神楽の奉納です。獅子舞が威勢よく座敷の中を舞うと、次々におひねりが投げ込まれ、列席者の頭を噛むなどして回ります。おひねりを獅子の口の中に放り込んだり、わざと遠くに投げてみたりと、獅子舞とのひょうきんな掛け合いを見せたりし、笑いを誘います。舞いの最後に、獅子舞の口から「謹賀新年」と書かれた掛け軸が飛び出し盛り上がりも最高潮に達しました。


稲荷山三番叟

 次に披露した神楽は「稲荷山三番叟」。矢を入り、動物を殺生した翁を、狐がお祓いをするものです。一昨年前まで、おびしゃ行事では狐とひょっとこによる「種貸し」を披露していましたが、おびしゃ行事の弓を射る行為ともかけて、今年も「稲荷山三番叟」を奉納しました。


宇佐見憲雄会長

 その後、衣装・小道具の引き渡しが行われ、一連の儀式は幕を閉じました。鰭ケ崎おびしゃ行事保存会の会長・宇佐見憲雄さんは「約300年間続く行事を毎年やり遂げるということが大事です。やり遂げるには一人ではなく、一致団結しなければなりません。形を変えても途切れさせてはいけないものだと思っています」と話してくださいました。新しい7人の当番は年4回行われる「おこもり」や、分雷(わけいかづち)神社への代参など1年間のお務めを行い、来年の1月20日には、また七福神の姿を見せてくれます。


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