ぐるっと流山 小池博史演出の「風の又三郎」世界初演

ページ番号23051 更新日 平成26年10月7日

小池博史演出の「風の又三郎」

   10月4日(土曜)、流山市文化会館で、小池博史meets宮沢賢治シリーズ第3弾「風の又三郎-Odyssey of Wind」の初上演が行われました。「風とともに旅をしよう。東北と世界をむすんで」と銘打って公演された今回の舞台。流山では、東日本大震災以来、東北が生んだ詩人で作家の宮沢賢治の作品を、小池博史の演出で世界初演を続けてきました。平成24年度に動物との関わりをテーマにした「注文の多い料理店」、25年度に生と死をテーマにした「銀河鉄道」に続く第3弾、「風の又三郎」でシリーズ完結、26年度は「人と異界」をテーマに、3.11後の世界に贈る自然と人の物語として小池博史ブリッジプロジェクトとの協働で制作してきた舞台です。


能楽師の清水寛二氏をはじめ20代から60代の男性など多彩な出演者

   出演は、能楽師の清水寛二氏をはじめ、元パパ・タラフマラの松島誠氏、バリ舞踏家の小谷野哲郎氏、「りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ」の河内大和氏、サーカスの谷口界氏という実に多彩な20代から60代の男性。舞台美術は東京大学先端科学技術研究センター特任助教授で2009年羽田空港「空気の港」や瀬戸内国際芸術祭2010などで注目を集める鈴木康広氏が初挑戦。音楽は、世界的な尺八奏者・中村明一氏、ラッパー・下町兄弟氏によるアフリカの打楽器ジャンベなどの生演奏で伝統と現代の融合した音の世界を創り上げ、元イッセイミヤケコレクションデザイナー・浜井弘治氏による衣装、映像作家・飯名尚人氏が空間を映像で彩るメディアアートなど多くのアーティストが“風の吹く空間”を創り上げました。


小池博史meets宮沢賢治シリーズ第3弾

   今回の作品に作家の天童荒太氏は、「賢治がやさしい言葉で捉えた、手ごわい宇宙の秘密と真実…。小池博史氏のプロジェクトは、人間が切り拓いてきたあらゆる表現手段を用いて、立体的にそれらを捉えなおし、めまいを誘発するような新しい世界へ、観客を導いてゆく。シラヌマニ、古くて卑小な価値観に、私たちは取り巻かれている。臆病な殻を脱ぎ捨て、“どっどど どどうど”と、彼らのいざなう空間へ飛び込みたい。得られるものはきっと小さくないはずだ。」とコメントを寄せてくれました。今回の公演に向けて流山市生涯学習センターでの稽古の様子等が朝日、産経、東京、毎日、読売の各紙で大きく紹介されるなど反響が大きかったのは3年間の継続が認められたものと関係者は喜んでいました。


通常知られている作品と「風野又三郎」を合わせて舞台化

   公演の10日前には、宮沢賢治がデビュー前に学生時代の同級生に宛てた自筆のはがきなど新資料が発見されたという報道もあり原作者への関心が高まりました。「風の又三郎」は、賢治が死んだ翌年(1934年)に発表された作品です。谷川の岸の小さな小学校に、ある風の強い日、不思議な少年が転校して来ます。少年は地元の子どもたちに風の神の子ではないかという疑念とともに受け入れられ、さまざまな刺激的行動の末に去って行きます。その間の村の子どもたちの心象風景を現実と幻想の交錯として描いた物語で、「風野又三郎」という漢字で「野」とする短編が元になっています。今回の作品は、通常知られている作品と「風野又三郎」を合わせて舞台化しました。


演出・脚本・振付・構成をされた小池博史氏

   演出・脚本・振付・構成をされた小池博史氏は、一橋大学卒業後、TVディレクターを経て1982年パフォーミングアーツグループ「パパ・タラフマラ」を設立。以降、全55作品の作・演出・振付を手掛け35カ国で上演され、国際的に高い評価を確立し、2012年5月、パパ・タラフマラを解散。6月に設立した「小池博史ブリッジプロジェクト」は、「流山市の支援なくしては、立ち上げることができなかったといっても過言ではありません」とフェイスブックで語っています。流山から公演が始まった宮沢賢治作品の「注文の多い料理店」は既に5カ国14か所で公演され、昨年度の「銀河鉄道」はアメリカなどでの公演が決まり、今回の「風の又三郎」も制作段階でアジア各国からオファーがあるそうです。


「風の又三郎」世界初演

   観世流シテ方、公益社団法人銕仙会理事、沖縄県立芸術大学非常勤講師などで活躍されている清水寛二氏、23年間パパ・タラフマラに在籍し「1年の半分を海外で過ごす旅芸人」と自称する松島誠氏、バリ舞踊家で、音大を卒業後インドネシア国立芸術高等学院に留学しガムランの演奏などでも有名な小谷野哲郎氏、「MASH.Company」を主宰し、構成・演出も手がけている河内大和氏、2012年少人数サーカス集団「イル・スペオピーレ」の立ち上げに参加し、プロの大道芸人として活動中の谷口界氏の5人の男性が舞台で風の精になったり、小さな学校の子どもたちになったりして物語が進められていきます。5人とも出ずっぱりで激しい動きが続き満身創痍での舞台となりました。


小池博史氏を中心にアフタートーク

  客席では、あかちゃんを抱いたご夫妻から小学生、演劇や美術を学ぶ高校生、中高年者まで幅広い層の方々が鑑賞されました。公演直後には、小池博史氏を中心にアフタートークがホワイエで開催されました。宮沢賢治シリーズの3作品は、今回のようなプロの舞台の他に、市民の皆さんを対象にした公募型の「ワークショップ」を流山市生涯学習センターで続けています。このワークショップにご参加された梶川裕見さん、小林千賀子さん、高田恵子さんの女性3人と井崎義治流山市長がアフタートークに参加し、芸術文化とまちづくり、舞台の魅力や感性、言葉と身体や五感など参加者それぞれの舞台の感想や思いが語り合われ、大きな拍手が贈られていました。


このページに関するお問い合わせ

ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ