ぐるっと流山 甦った被爆ピアノによる平和を願う音楽会

ページ番号22892 更新日 平成26年9月22日

実際に被爆ピアノを見て、触れて、弾いてみようという関連企画も

被ばくピアノ

 9月19日(金曜)から21日(日曜)までの3日間、流山市生涯学習センターや流山市文化会館で「甦った被爆ピアノによる平和を願う音楽会」というコンサートやワークショップが行われ、多くの皆さんが広島で被爆したピアノによって平和を考える音楽イベントに参加しました。昭和20年8月6日、広島で被爆したアップライトピアノが、平和の旋律を奏でるピアノとして甦り、音楽や朗読で平和へのメッセージを平和都市宣言のまち流山でと、市民の皆さんによる実行委員会や会場となった生涯学習施設との協働で準備が進められてきたものです。


コンサートの様子

 主催は、「甦った被爆ピアノによる平和を願う音楽会」実行委員会(熊坂牧子代表)、共催は、流山市生涯学習センター指定管理者アクティオ株式会社。流山市や流山市教育委員会が後援、流山市商工会議所などが協力して開催しました。出演は、熊坂牧子・渡邉真弓(ソプラノ)、梶沼美和子(メゾソプラノ)、鹿野章人・熊坂正実(バリトン)、飯沼淳也(アコーディオン)、熊坂百合絵・西澤佳恵子・玉井敦子(ピアノ)、樺山玲子(ヴァイオリン)、矢川光則(講話)、ガントレット敦子(朗読)、老・ゆう大音楽専科OB連合会合唱団(合唱)、熊坂良雄(合唱指揮)、村川典子(司会)、そしてワークショップにご応募くださった皆さん。


音色に歌声に乗せて

 流山で奏でられたピアノは、ヤマハが昭和7年に製造したアップライトピアノで広島の爆心地から1.8Kmの民家で被爆したものです。被爆したピアノを、単なる「原爆資料」にするのではなく、調律し、トラックで運搬し、その音色を聴いて平和について考えてもらおうと活動を続けているのは、被爆二世で調律師の矢川光則さん。矢川さんは、01年から平和記念公園でコンサートを始め、05年からは各地で「被爆ピアノ・平和コンサート」を行い、10年9月11日にはアメリカ・ニューヨークで、「被爆ピアノ」を奏でて平和を願い、01年の米同時多発テロの犠牲者を追悼するコンサートを開催した方です。


合唱を行った皆さん

 ピアノは82年前につくられたものですが、合唱に参加された男性は83歳、女性は85歳が最高齢の方でした。被爆ピアノと同じように大変なときを生きてこられた皆さんの歌声が会場いっぱいに響きます。老・ゆう大音楽専科OB連合会合唱団は、公民館が中高年者の生涯学習の場として2年制で開催している「ゆうゆう大学(旧・老人大学)」の音楽専科を卒業された方々の自主サークルです。「ふるさとの山影」や「花の街」、「琵琶湖周航の歌」、「明日という日が」などが100人を超す中高年の皆さんの合唱で披露され、客席から大きな拍手が贈られていました。


大人向けのワークショップ

 流山市文化会館でのコンサートを挟むように9月19日(金曜)に大人向け、21日(日曜)に小中学生向けのワークショップ「タッチ&トライセッション」が行われ、実際に被爆ピアノを見て、触れて、弾いてみようという関連企画が流山市生涯学習センターで開催されました。大人向けワークショップでは、65年ぶりに「エリーゼのために」を弾こうと申し込まれた中村とみさん(78歳)をはじめ自閉症のハンディを持つピアニストの川島英一郎さんやゴスペルサークルなど公募で集まった10組が出演。小中学生向けワークショップでは、流山市民が平和を願って折った千羽鶴約22万羽を広島平和記念公園に届けた平和大使らが作文を朗読。8歳から15歳までの9組の子どもたちが被爆ピアノを演奏しました。


矢川光則さん

 広島からピアノを運んでくださった矢川光則さんは、公演前などに「放射能を浴びたピアノに触っても大丈夫?」と問われ、傷付くことも多いと言います。ワークショップでは、米同時多発テロでは消防士が懸命に救助活動をしていたが、自分の父も消防関係者だったので、ニューヨークの犠牲者追悼コンサートでも受け入れてもらえたと思うと語ってくださいました。コンサートに先立ち、井崎市長はピアノを修復して平和コンサートを続けていらっしゃる矢川さんのご活躍を称え、また、初日のワークショップに参加した後田教育長は、小学生のとき校外学習で長崎の被爆地を訪れた体験談などを交え、それぞれ平和の尊さを訴えました。


ピアノの演奏と朗読

 ガントレット敦子さんによる朗読は、「ミサコとピアノ~私を弾いて~千田町被爆ピアノ物語」。ピアノの演奏と朗読によって一台のピアノがたどった戦中戦後と、その持ち主だったミサコさんの生活を通じて戦争の悲惨さを訴えました。このピアノは、童話「ミサコの被爆ピアノ」として本になっています。広島原爆を書いた「ふたりのイーダ」をはじめ、長年にわたって戦争を見つめてこられた作家・松谷みよ子さんが書かれた作品「ミサコの被爆ピアノ」。流山市の姉妹都市・長野県信濃町にある黒姫童話館には04年、松谷みよ子常設展示室がオープン。「ミサコの被爆ピアノ」の原画展も行われています。4年前には熊坂さんらがこの記念館で被爆ピアノと出逢い、ぜひ、流山でもと構想を練ってこられ、今回、千葉県内で初めて演奏されることになりました。


関連の展示も

 流山では昨年、長野県上田市の美術館「無言館」から作品を借りて千葉県で初めて開催した戦没画学生「祈りの絵」展をはじめ、これまでもNHKスペシャル「解かれた封印~米軍カメラマンが見たNAGASAKI」でも知られるジョー・オダネルの写真集「トランクの中の日本」の写真展、井上ひさしが原爆の残酷さを訴えた作品「父と暮らせば」の朗読劇を、それぞれ流山市生涯学習センターで開催。ピアノ・ソナタ「月光」の演奏と「劇団東演」が特攻隊を描いた「月光の夏」、被爆した方の手記や詩を女優たちと流山の中学生らが朗読した「夏の雲は忘れない」の公演、そして流山おおたかの森高校演劇部が東京大空襲を取り上げた「語り継ぐべき詩」公演を、それぞれ流山市文化会館で開催しました。さらに広島に市民手づくりの折り鶴を小学生らが献納し、平和記念公園や資料館の見学、被爆者の講話会、平和記念式典への参列などを行う平和大使の派遣事業など平和施策が市民の皆さんとの協働で続けられています。


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