ぐるっと流山 黒坂黒太郎コカリナコンサート

ページ番号6806 更新日 平成22年6月9日

文化会館で「黒坂黒太郎コカリナコンサート」 被爆樹のコカリナで平和への祈りを込めて

黒坂黒太郎さんの写真

 6月8日(火曜日)、文化会館で『黒坂黒太郎コカリナコンサート』が開催され、大ホールを埋め尽くす約800人の観客が演奏に聴き入りました。このコンサートは、同日に生涯学習センターで始まった「ジョー・オダネル写真展」のオープニングコンサートとして、同写真展流山実行委員会と市教育委員会が主催したものです。ステージでは、黒坂黒太郎さんらによるコカリナの演奏や、市内在住の白木惠委子さんの著作「ことりになったエノキ」の朗読が披露され、観客の感動を呼びました。


コントラバスコカリナとオートハープの写真

 ”コカリナ”という楽器をご存じでしょうか。コカリナは、木で作ったオカリナに似た笛で、リード部分にいたるまですべての部分が木だけでできています。黒坂黒太郎さんは、15年前に持ち帰ったハンガリーの笛をもとにこのコカリナを開発した生みの親ともいえる音楽家です。日本はもとよりウィーンなど海外でも喝采を浴びているコカリナの演奏を、平和施策事業に賛同し、今回はじめて流山で披露くださいました。コカリナの音色が平和への祈りと結びついたのは、黒坂さんが広島の被爆樹でコカリナを作ったことに始まります。原爆で焼かれたのちも生き続け、ついに枯れてしまったエノキの木でコカリナを作ったところ、何とも言えない癒しの響きを奏でたそうです。


矢口周美さんの写真

 ソプラノコカリナというわずか10センチメートルほどのコカリナによる「ふるさと」の演奏で幕を開けたコンサート。温かみがありながらも澄みきった強い響きが、途端に会場の雰囲気を変えていきます。曲の合間にはコカリナや曲の解説もありました。「クルミの木や桜、材料によって個性的な音色が出ます」と実際に何本かの笛を吹いての解説どおり、それぞれに響きが異なります。その桜の笛を使っての「さくら」では、矢口周美さんの歌とFUKUZAWA Tatsurouさんのピアノも加わり、郷愁を感じる一曲です。ユーモラスな「ひばり」、黒坂さんがコカリナのために作曲した「木立を抜ける風の音」など、途中30センチメートルほどもある低音の出るコカリナなどに笛を持ちかえながらコンサートは進みます。


ピアノとのユーモラスなかけあいの写真

 矢口さんの美しいソプラノで歌われる「ありがとう」は、中越沖地震で被災した山古志小学校の児童らが原詞をつくり、黒坂さんが曲にしたものです。中越沖地震では、学校も校庭の木も倒れ、子どもたちの心に大きな衝撃を与えました。そこで黒坂さんたちは、倒れてしまった木から児童83人全員分のコカリナを作り、長岡市に避難していた子どもたちに贈ったのです。通っていた学校がなくなり、ふるさとからも離れて寂しく過ごしていた子どもたちは、この贈り物に大変喜び、交流のきっかけとなりました。それから1年後、少しずつ落ち着きを取り戻した子どもたちから「全国の人の応援がとてもありがたかったので、感謝を伝える歌を作りたい」との申し出があり、「ありがとう」の共作が実現したのが4年前のことです。


会場からは大喝采の様子の写真

 若葉台から観賞に訪れた鹿島さんは、「"一本の樹"が大好きで、歌声とコカリナを間近で聴けてうれしいです」と話していらっしゃいました。市野谷からお越しの土屋さんは、「コカリナを始めてみたいと思いました。私たちもさえずりますよ」と演奏に心打たれた様子でした。鹿島さんたちは黒坂さんの演奏を度々都内などに聴きに行かれているそうで、「今回流山でこの平和の響きのコンサートが実現したことは大変すばらしいこと」とも話してくださいました。


菅原美代子さんの写真

 続いて第2部は、菅原美代子さんによる、童話「ことりになったエノキ」の朗読で始まりました。「ことりになったエノキ」は、黒坂さんがコカリナにしたエノキのお話を綴ったもので、著者は流山市在住の白木惠委子さんです。広島の病院の庭で被爆しながらも、終戦後39年間生き続け力尽きたエノキ、エノキが見た悲惨な光景、エノキを見守り大切に保存した地元の小学生や高校生、そしてことりのようにさえずるコカリナとして新たな命を吹き込んだ黒坂さん―菅原さんのやさしい声で語られる物語に、会場は静かに聴き入ります。


「白木さんと童話について語ります」様子の写真

 朗読のあとには菅原さん、白木さん、黒坂さんが登壇し、それぞれの想いを語られました。白木さんからは、このエノキの話を取材した、当時広島にいらっしゃった看護師さんのお話、黒坂さんからは「被爆樹のコカリナの音色は、やんちゃな小さな子どもでも静かになって耳を傾けることが不思議。何か伝わるものがあるのでしょう。白木さんの本は、音とはまた別のかたちで子どもたちに平和の大切さを伝えてくれる大変ありがたい存在です」と童話の語りかけるメッセージについて話されました。


ソプラノコカリナの写真

 ロビーではコカリナ演奏のCDのほか、実際のコカリナも数種類販売されました。この日初めてコカリナを知った方が大半でしたが、会場からは「吹いてみたい」という声が多く聞かれました。生涯学習センターでは、6月24日(木曜日)午前11時から、コカリナを練習してみたいという方を対象に無料の講習会を開催します。また、7月からは3か月コース(全6回)の教室も開始予定です。この機会にぜひやさしい音色のコカリナをはじめてみませんか。詳細は生涯学習センター(電話:04-7150-7474)までお問い合わせください。


このページに関するお問い合わせ

ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ