第2回流山市こどもの権利部会 参考資料2 多様なこども・若者の意見反映プロセスの在り方に関する調査研究 表紙 報告書概要版 2024年3月 多様なこども・若者の意見反映 プロセスの在り方に関する調査研究 〜 声を聴かれにくいこども・若者の意見を聴き、政策に反映するために 〜 株式会社NTTデータ経営研究所 こどもまんなか こども家庭庁 表紙終わり 2頁 目次 1. 調査概要 - なぜ調査を実施したか  - どのように調査を実施したか  2. 調査結果 - 調べてわかったこと   2-1. それぞれの属性による特徴・声の聴かれにくさ   2-2. 当事者の声   2-3. 属性に共通する大事なこと   2-4. 属性ごとに気を付けるべきこと   3. 今後の課題 - 国や自治体が取り組むべきこと ( 参考) - 調査にご協力いただいた皆様 目次終わり 3頁 タイトルページ 1.調査概要 - なぜ調査を実施したか - どのように調査を実施したか タイトルページ終わり 4頁 1-1. はじめに ・こども・若者は、保護者や社会の支えを受けながら、自立した個人として自己を確立していく意見表明と自己決定の主体、いわば権利の主体です。 ・こども・若者を「将来を担う」というだけの存在ではなく、「いまを生きる市民」として捉え、その意見を聴きながらともに社会を創るパートナーなのだという意識を広く共有することが重要です。 ・政府では、令和4年度に調査研究を実施し、こども・若者の意見を聴き、政策に反映するためのプロセスについて調査しました。 ・その中で、「声を聴かれにくいこども・若者」の意見を聴き、政策に反映するために状況や特性に合わせた工夫や配慮が必要、という課題があることが分かりました。 「声を聴かれにくいこども・若者」の例 ・不登校のこども、中退した若者 ・障害児・医療てきケア児、外国人のこども・若者 言葉の説明 医療てきケア児とは、  生活の中で、人工呼吸器やたんの吸引といった特別な道具や助けが必要なこども。 言葉の説明終わり ・社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者、虐待を受ける、または受けたことがあるこども・若者、経済的に困難な家庭のこども・若者 言葉の説明 社会的養護とは、  保護者のない児童などを、施設等を活用して養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと 言葉の説明終わり ・乳幼児期のこども 「声を聴かれにくいこども・若者」の例終わり そこで今回、こども家庭庁は、声を聴かれにくい状況にあると考えられる多様なこども・若者に意見を聴く在り方(聴く側の姿勢、聴く方法、政策への反映方法など)について、調査を実施しました。 調査報告書は、その調査結果をまとめたものです。 5頁 1-2. 調査の背景 「声の聴かれにくさ」とは? こどもや若者が意見を言い、その意見が政策に反映されるために必要なこととは、 ・社会の仕組み・ルール、政策課題について知る機会があること ・意見を伝えやすい相手が身近に存在していること ・意見の背景にある状況や環境について相互理解がされていること ・安全・安心な場所で意見を述べられること ・意見を言うときや言ったあとの心理的安全性が確保されること 言葉の説明 心理的安全性とは、  自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態。 言葉の説明終わり ・自分が伝えやすい表現方法で伝えることができること などが必要です。 しかし、不登校のこども、障害児、虐待を受けるこども・若者、性的マイノリティのこども・若者、乳幼児など、こどもや若者が置かれている状況や特性によっては、これらの条件が満たされないことも多いです。 そのことによって、「声の聴かれにくさ」を生んでいる可能性があります。 今後、国や地方自治体が多様なこどもや若者の意見を聴き、政策に反映していくために、表出されやすい意見だけではなく、「声を聴かれにくいこども・若者」の意見を聴くことが重要です。 こども家庭庁は、国や地方自治体がこどもや若者から意見を聴き、政策に反映する取組をより良くしていくために、「声を聴かれにくいこども・若者」の状況や特性に応じて、どのような配慮や工夫が必要なのかを調べ、まとめることにしました。 6頁 1-3. 調査の全体像 この調査研究では、4つのステップで調査を行い、声を聴かれにくい状況にある当事者(こども・若者)の声を聴くことを重視しました。 注釈 ヒアリングをした当事者には、報告書の内容を事前に確認してもらっています。 注釈終わり また、報告書作成にあたって、デザインや内容について、こども・若者から意見を聴き、作成しました。 調査研究報告書の調査のながれ図 多様なこども・若者の意見反映プロセスの在り方に関する調査研究のステップ ステップ1:調査対象属性検討 ステップ2:文献調査 ステップ3:有識者・支援者 ヒアリング ステップ4:当事者(こども・若者) ヒアリング 調査研究のステップ終わり ・ヒアリング当事者あてのフィードバック ・報告書案(デザイン・内容)について、こども・若者からのヒアリング 以上を調査研究報告書に盛り込む 調査研究報告書の調査のながれ図終わり 7頁 1- 4. 調査対象 〜声を聴かれにくい状況のこども・若者〜 令和4 年度調査研究で分かった声を聴かれにくいポイントを踏まえて、下の4つのカテゴリーに分けて調査を行いました。 「声を聴かれにくいポイントを踏まえたカテゴリー」及び、関連する「調査対象属性」を述べる。 注釈 1. ただし、こども・若者が抱える困難の要因は一つではないため、カテゴリー間で重複することがあると考えられます。 2. 調査対象属性とは、それぞれのカテゴリーに該当する特徴を持つと考えられる人たちのことです。ただし、書いてある属性は、そのカテゴリーに該当すると考えられる属性の一部であり、該当する全てのこども・若者を網羅できているわけではありません。 注釈終わり カテゴリー:1 学校、地域、生活の場などを通じて情報や参画機会を提供することが困難なこども・若者 調査対象属性: 不登校のこども、中退した若者、 経済的に困難な家庭のこども・若者、ヤングケアラー、 アクセスの難しい地域に住むこども・若者 カテゴリー:2 意見表明の手法の選択肢が限られていることから受け止める側も聞くための工夫が特に必要なこども・若者 調査対象属性: 障害児・医療てきケア児、 外国人のこども・若者 カテゴリー:3 意見を言うことが安全・安心でないなど、意見を言う環境に特別な配慮や工夫が必要なこども・若者 調査対象属性: 社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者、虐待を 受ける、または受けたことがある こども・若者、性的マイノリティのこども・若者、いじめを受ける、または受けたことがあるこども・若者 言葉の説明 性的マイノリティとは、  同性が好きな人、生まれたときにつけられた性別に違和感を覚える人などのこと 。 言葉の説明終わり カテゴリー:4 言葉だけではなく、年齢及び発達段階に応じて、その意思(思いや願い)が多様な形で表れ、受け止める側も聴くための工夫が特に必要な乳幼児 調査対象属性: 乳幼児期のこども( 0さい、概ね1歳から3歳未満の幼児、 概ね3歳以上の幼児) 8頁 タイトルページ 2.調査結果 - 調べてわかったこと タイトルページ終わり 9頁 2-1. それぞれの属性による特徴・声の聴かれにくさ (1) 学校、地域、生活の場などを通じて情報や参画機会を提供することが困難なこども・若者 ・このカテゴリに該当するこども・若者は自分自身が、学校や地域の居場所から外れた存在だと思い、いわゆる「学校でうまくいっている人」「マイノリティではない人」と一緒にいることに苦痛を感じることがあります。 言葉の説明 マイノリティとは、  ある社会を占める多くの人たちとは違う属性を持った個人やその集団。少数派。 言葉の説明終わり ・困難な状況にあることを自分でわかっていないこども・若者も多く、学校や地域で居場所に、全く参加できていないこども・若者もいるため、該当するこども・若者に意見を聴きに行くこと、声掛けすることが難しいことがあります。 声を聴かれにくい状況にある当事者の声を、具体的な属性ごとに、 声の発言者、声の内容の順に述べる。 「不登校のこども」 (有識者) ・ヒアリングの場に、学校の知り合いが同じ場にいる可能性があることで参加しにくいことがある。(意見を言う機会があったとしても)みんなが集まる場所に行くことに抵抗がある。 (有識者) ・不登校のこどもや引きこもりのこどもは、繊細で真面目、自己責任感が強い傾向があり、「期待されていることに応えなければならない」という気持ちが強い。 「不登校のこども」終わり 「中退した若者」 (有識者) ・中退した若者の中には、通信制高校に通えない人もおり、社会とのアクセスが断絶されてしまい、声を聴くことが特に難しい。 (有識者) ・政策が縁遠いものという認識があるため、政策に対して意見を言うという気持ちになりにくい。 「中退した若者」終わり 10頁 「ヤングケアラー」 (支援者) ・ヤングケアラーは、自分がヤングケアラーだと自認していないことが多いため、ヤングケアラーの立場で意見を言いたいという人にアプローチすることが難しい。 (有識者) ・ヤングケアラーにとっては、「家が職場」という感覚がある。(電話やオンラインなどで)自宅で意見を言うと、家族に話を聴かれることにリスクを感じる。 「ヤングケアラー」終わり 「経済的に困難な家庭のこども・若者」 (支援者) 自分の思いを言える相手や本音を言えるコミュニティが無く、自分のことを語る際につまづくこどもが多い。 「経済的に困難な家庭のこども・若者」終わり 「アクセスの難しい地域に住むこども・若者」 (高校生世代) ・イベントなどの情報を得る機会はあっても、それが都市部で行われる場合には、参加の機会に制限やハードルがある。 「アクセスの難しい地域に住むこども・若者」終わり 11頁 2-1. それぞれの属性による特徴・声の聴かれにくさ (2) 意見表明の手法の選択肢が限られていることから受け止める側も聴くための工夫が特に必要なこども・若者 このカテゴリに該当するこども・若者は、聴く側の大人が勝手に意見のないこども・若者だと思いがちです。意見が言語化されて表れていないからといって、意見がないわけではありません。 ・意見の表出が上手くできないことや、意見を伝えることに時間がかかることで、「言っているけれども伝わらない」経験や、意見を言うと大人が「おおごと」にしてしまう経験をしてきたことが考えられます。そうした経験の積み重ねが、大人へ意見を言う事へのハードルになっている特徴があります。 声を聴かれにくい状況にある当事者の声を、具体的な属性ごとに、 声の発言者、声の内容の順に述べる。 「障害児」 (文献調査) ・自分の行動の理由や自分の思いをうまく人に伝えられない人もいる。 (文献調査) ・全く聞こえない場合や、聞こえにくい人がいる。 (文献調査) ・意思交換(言葉を理解し、気持ちを表現することなど)が苦手な人もいる。 「障害児」終わり 「医療てきケア児」 ・日常生活及び社会生活を営むために常に医療てきケアを受けることが不可欠なため、意見表明の機会に参画するために移動することに困難がある 。 ・医療てきケア児のコミュニケーションは、主観的な方法が用いられているが、 親や身近な人などの理解できる人が限られる方法になりがちである 。 ・医療てきケア児は、親が本人の意見を代弁することになることが多いため、コミュニケーションが「第三者返答」になりやすい 。 「言葉の説明」 第三者返答とは、  話しかけてきた人の見かけの印象などから、その人との意思疎通が問題ないにも関わらず、無視して、その人と一緒にいる人に返答すること 。 「言葉の説明」 「医療てきケア児」終わり 12頁 「外国人のこども・若者」 (有識者) ・日本語による意思の伝達が困難であることなどから、戸惑いや不安を感じたり、たずねたいことや伝えたいことがあっても言い出せないことがある。 (支援者) ・翻訳アプリを使っても「自分の気持ち」を翻訳して伝えることは難しい。 (支援者) ・日本語学習において、実用的な言葉を先に学ぶ。気持ちや感情についての表現は後から学ぶため、抽象的に「気持ち」や「感情」を聞かれると、日本語で答えるのが難しい。 「外国人のこども・若者」終わり 13頁 2-1. それぞれの属性による特徴・声の聴かれにくさ (3) 意見を言うことが安全・安心でないなど、意見を言う環境に特別な配慮や工夫が必要なこども・若者 ・このカテゴリに該当するこども・若者は、置かれた環境・経験によって、自身の気持ち自体を失ったり、気持ちを言うことへの恐怖心が植え付けられており、意見形成や意見表明の力が弱っていることが多いです。 ・不信感や警戒心が強く、傷つきやすい状況になっており、意見を言うこと、聴かれることによって、苦痛を感じるおそれがあります 。 ・自身の経験・属性・意見が伝わることによって不利益を被るリスクがあるため、匿名性が確保されるかどうかを強く気にすることがあります。 「言葉の説明」 匿名性とは、  本人の発言や行動により本人に不利益なことが起きないように本人の身元を隠すこと 。 「言葉の説明」終わり ・社会的養護経験者は、社会からの支援とのつながりが途切れる場合もあり、声を伝える機会自体が少ないです。また、相手を選ばなければ言えない特徴があります。さらに、勇気を出して意見を言っても、「理解されない、伝わらない」、「言ったことで逆に自分に不利益が被る」経験が、意見を言う事のハードルをあげていることもあります。 声を聴かれにくい状況にある当事者の声を、具体的な属性ごとに、 声の発言者、声の内容の順に述べる。 「社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者」 (有識者) ・社会的養護経験者は、信頼できる大人との出会いが少ないため、声を伝える機会自体が少ない。 (有識者) ・育ってきた経験によって、自分がどんな気持ちか分からなくなるまで感覚自体が失われており、“麻痺”していることもある。 「社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者」終わり 14頁 「虐待を受ける、 または受けたことがあるこども・若者」 (支援者) ・何事に対しても自分に原因があると考えてしまい、言う前に自分で止めてしまう。言っても人が動いてくれないのではないか、言えば怒られるのではないか、を気にしてしまう。 (支援者) ・虐待によって脳の発達に影響を受けている当事者もいるため、自分の状況に対しての原因やつまずきの理由が本人でもわかっておらず、自らの状況を踏まえた意見形成が難しい。 「虐待を受ける、 または受けたことがあるこども・若者」終わり 「性的マイノリティのこども・若者」 (有識者) ・アウティング(いわゆる、本人の意思に反して性的指向やせい自認を第三者に知られること)のリスクがあるため、自身の性的指向やせい自認を明らかにした上での意見表明がしずらい。 「言葉の説明」 1. 性的指向とは、  恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向。例えば、男性が好き、女性が好き、男性も女性も好きなどのことです。 2. せい自認とは、  自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識。「ジェンダー・アイデンティティ」ともいいます。 「言葉の説明」終わり (有識者) ・これまで施策の対象から漏れてきた経験や歴史があり、「どうせ意見を言っても変わらない」、「自分が我慢すれば済むのではないか」と思っていることが多い。 (高校生世代) ・意見を聴く場がインクルーシブなものになっておらず、「特別な人たち」として扱われることで、意見を聴かれる場に参加することもためらってしまう。 「性的マイノリティのこども・若者」終わり 「いじめを受ける、受けたこども・若者」 (有識者) ・いじめを受けたこどもは周りに対する不信感が強くならざるを得ず、警戒心が強く、傷つきやすい状況になっている。 (有識者) ・いじめを受けている、受けた経験のあるこども・若者は、いじめの情景を思い出したくないと感じたり、話すことで苦痛に感じたりすることがあるため、話したがらないことが多い。 「いじめを受ける、受けたこども・若者」終わり 15頁 2-1. それぞれの属性による特徴・声の聴かれにくさ (4) 言葉だけではなく、年齢及び発達段階に応じて、その意思(思いや願い)が多様な形で表れ、受け止める側も聴くための工夫が特に必要な乳幼児 ・乳幼児から意見を聴くこと自体難しいと考えられてきて、これまで聴かれてきませんでした。 ・日常のつぶやきや表情の中に、気持ちや考えが含まれているため、まとまった形の意見として聴かれにくいことがあります。 ・保育園等でも、保育士が決めた指示に従うことが求められ、従わない子は問題児(困った子)扱いされてしまうこともあります。 「乳幼児」の属性について、声を聴かれにくい状況にある当事者の声を、 声の発言者、声の内容の順に述べる。 「乳幼児」 (有識者) 3歳程度までの乳幼児は、自分で気持ちを表現できないことがある。 (有識者) ・声には出さないが表情等で表現することもあるため、声に出していることと考えていることが異なる可能性がある。 (有識者) ・乳幼児は刹那的であり、今を生きている。今の最善は言えるが、先のことを考えて意見できるわけではない。明日には意見が変わるかもしれない。 「言葉の説明」 刹那的とは、  あと先を考えず、今この瞬間だけを充実させて生きようとするさま 。 「言葉の説明」終わり 「乳幼児」終わり 16頁 2-2. 当事者の声 (1) 学校、地域、生活の場などを通じて情報や参画機会を提供することが困難なこども・若者 以下の5つの着目点ごとに、当事者の声を、声の発言者、声の内容の順に述べる。 @意見を言う相手 A意見を言う場所・環境 B手法対話や問いかけの仕方 C誰と一緒がよいか Dその他 @ 意見を言う相手 (20代、不登校経験者) ・立場や価値観が違うと言いづらく感じた。立場だけでなく、意見をはっきり言う人・濁して言う人のような価値観が違うことも影響する。 (高校生世代、ヤングケアラー) ・配慮していただけることはありがたいが、一方であまりネガティブに捉えられるよりは、ポジティブに捉えてほしい。 (20代前半、中退) 学校の先生は怖く感じてしまう。 A 意見を言う場所・環境 (20代前半, 中退、2人からの意見) ・知らない大人であっても、この場所(若者自立支援ルーム)に来てくれたことや、こども家庭庁から来た人のため「分かっている人」だと思ったので、大丈夫だった。 (20代前半、ヤングケアラー) ・ヤングケアラーは、ケアをしながら参加してもらうことが想定されるため、外出が難しい人も多いと思う。その点で、オンラインのヒアリングという点はとてもいいと思う。 (高校生世代、アクセスの難しい地域に住む若者) ・アクセスの難しい地域に住むこどもから話を聴く場合、その地域に聴く側が出向くのは一つの有効な手法。 17頁 B 手法 (20代前半、中退) ・SNSで意見を言うことは楽だが、表情が見えずコミュニケーションができないからあまり好まない。 (20代前半、ヤングケアラーラー) ・オンラインのヒアリングは参加しやすい反面、自宅にしか環境がないことが多い。話し声がケアをしている祖父に聞こえてしまう、あるいは母親に聞こえてしまうことで、躊躇することがあった。 (高校生世代、アクセスの難しい地域に住む若者) ・オンライン環境は浸透しているが、一部、ネットが通じていない子もいる。そういう子は、電波が届かないため、オンラインで意見をいうこともできないと感じる。 C 対話や問いかけの仕方 (小学生、不登校) ・話しているときに、途中でいろいろ言われると話すのがイヤ。言いたいのはそれじゃないのに、という気持ちになる。 (20代前半、中退) ・聴きたいというスタンスだったら、「聴きに来てほしい」と思う。「行く」というのは違うと思うし、中立的な場所があればいいのかもしれないが、ピンとこない。 18頁 D 誰と一緒がよいか (20代前半、中退) ・色んな人がいる環境でヒアリングをする場合、似た境遇の人がいると心強いし、話しやすい。半分以上はいてほしいと思う。 (20代前半、中退) ・僕は、ヒアリングの場は全員が若者自立支援ルーム(ヒアリング先施設)の人であってほしいと思う。 (20代前半、中退) ・施設のスタッフがいると安心感がある。言葉に詰まったときに意訳してくれる(フォローしてくれるから)いてほしいと思う。 Eその他 (20代、不登校経験者) ・行政の人だけで全部考えてしまって最後に意見を聴かれても「あーそうですか」としかならない。最初から「こういうことを悩んでいる、どうしたらいいと思う?」という時点で意見を聴いてほしい。 (高校生世代、ヤングケアラー) ・「ヤングケアラー」と表現する言葉を使わないと、そもそも話を聞いてくれない実態もあるのではないかと思う。一方で、自分自身をヤングケアラーだと言えるまでに時間がかかるこどもも多いと思う。 19頁 2-2. 当事者の声 (2) 意見表明の手法の選択肢が限られていることから受け止める側も聞くための工夫が特に必要なこども・若者 @ 意見を言う相手 (小学生、障害児) 知らない先生は、自分のことをわかってくれないから嫌だし、話しにくい。 (小学生、障害児) 学校の先生に意見を伝えると、呼び出されるかもしれないのが嫌だ。 (小学生、障害児) いじめの話などは、学校の先生には言えない。いじめた本人に伝わって、本人と次会うときに気まずくなってしまう。 A 意見を言う場所・環境 (この調査研究のなかでは、この点についての声は聴けていません) 20頁 B 手法 (中学生、障害) ・(直接意見を言うよりも、手紙であればゆっくり考えてたくさん書けるから伝えやすい? の質問に対して) うん。他の人がいる場所だと、自分の意見が知られてしまうことがあまり嬉しくない。 (医療てきケア児の支援者) ・心拍を測る機械で反応が分かる。 (中学生、外国人) ・翻訳アプリをよく使う。翻訳アプリで話すと、日本人と話しやすくなる。翻訳アプリを使ってほしいと伝えるのも難しい。 (中学生、外国人) ・(日本語が難しいから)学校でわからないことはあまり言えない。 「ここがわからない」とわからない箇所を日本語の言葉で伝えるのが難しい。 21頁 C 対話や問いかけの仕方 (中学生、障害) ・話しているときに「何を言っているんだ?」という表情をされると、言いにくい。 D 誰と一緒がよいか (中学生、障害) ・知っている人や先生が近くにいて、助け船を出してもらうほうが嬉しい。 (小学生、障害) ・意見を言う時に一緒にいる人の年齢は、年下より年上の方が話しやすい。年上はあまり嫌なこと言わないと思う。 注釈  障害者であることを理由に年下の人から嫌なことを言われた経験があると保護者の補足説明あり 注釈終わり (小学生、障害) ・そもそも知らない人と一緒に話し合いをすることは無理だと思う。(身体が小さいから)ずっと見られるし、目線を感じると思うから嫌だ。 (中学生、外国人) ・学校ではネパール人の友達が2人いて、日本語を話すのを手伝ってもらっている。1人より友達との方が話しやすい。 (医療てきケア児の支援者) ・8年一緒に過ごして、ようやく表情で気持ちを判断できるようになった。いやなことは表情で上手く表現できるが、嬉しい、楽しいという感情は、普段から関わっている人でないと読み取るのが難しい。 22頁 2-2. 当事者の声 (3) 意見を言うことが安全・安心でないなど、意見を言う環境に特別な配慮や工夫が必要なこども・若者 @ 意見を言う相手 (20代前半、社会的養護経験者) ・中学生の頃、児童養護施設の自治会議に、「(施設の先生が)同席されることで施設に対しての要望や不満を言えないため、数分でも良いので退席してもらえないか」と意見を言ったところ、対応してもらえた。 (高校生世代、性的マイノリティ) ・30代とか、年齢的に近い人の方が言いやすいと思う。 (高校生世代、性的マイノリティ) ・価値観のような部分は、年配の先生とは合わないかな?と思ったし、相談しようとも思わなくなる。 A 意見を言う場所・環境 (20代前半、社会的養護経験者) ・例えば、ホームグラウンド(普段過ごしている場所)だと話しにくいという子やお店など、外出先の方が他人の目があり、監視カメラがあるので親が自制する効果が期待できて安心して話せる子もいると思う。1対複数で同じ机を囲む状況が無理だという子もいた。(その子はかつて家族から食卓で責められた経験があった) (高校生世代、性的マイノリティ) ・自分から省庁や自治体に出向くのは、権力や(マイノリティである点で)数的に不利なので抵抗感がある。数めいで話を聴きに来てくれるという機会は話しやすい。 23頁 B 手法 (20代前半、社会的養護経験者) ・小学校でアンケートが配られた際に、自分の状況(暴力を振るわれていた状況)を書きたかったが、提出前に保護者が印を押さなければならなかったため、「普通」と書いた。アンケートがあったこと自体も親に伏せてほしい。 (高校生世代、性的マイノリティ) ・(自宅でのオンラインは)親がいるから普通の声の大きさでしゃべることに抵抗があり、話しにくい。メールやLINEで相談する手段があるといいと思う。 (高校生世代、性的マイノリティ) ・学校のアプリ(コンディションレポート)で「相談しようと迷っていること」に「はい/ いいえ」をチェックする欄で悩みがあることを伝えたこともある。本当は直接言うのが苦手なので、自由記述欄がほしいが、自由記述の内容を伝えたい教員以外に見られたくはない。 C 対話や問いかけの仕方 (20代前半、社会的養護) ・児童養護施設のこどもが不幸という思い込みのもと、対応をされてきた。「虐待されたからつらい・かわいそう」で理解が止まらないでほしい。 (高校生世代、性的マイノリティ) ・ヒアリングの場において、「意見を聴かれる人たち」や「特別な人たち」と分けられてしまうことに抵抗感がある。 24頁 D 誰と一緒がよいか (20代前半、社会的養護) ・知っている存在が同席し、自分のホームで話している状況は理想的。知らない場・知らない人からの連絡は怖い。 (高校生世代、性的マイノリティ) ・集団のなかでLGBTQ について話す場があっても、相手がどう思うかとかを考えてしまうので、言いづらい。 言葉の説明 LGBTQとは、 レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどのの性的マイノリティの人々。 言葉の説明終わり (高校生世代、性的マイノリティ) ・参加者がみんなLGBTQ の場や、カミングアウトしている人同士の場であっても、(知らない人の中で発言するのは)やはり難しいと思う。怖さがある。 Eその他 (高校生世代、性的マイノリティ) ・「LGBTQ」という単語が出た時点で、みんなと壁ができる、全く異なる人種として扱われる感覚がある。SOGIという単語の方が、全ての人に関わる単語なので良いと思う。 言葉の説明 SOGIとは、 性的指向、せい自認のこと。 言葉の説明終わり (高校生世代、性的マイノリティ) ・名前をフルネームで書く必要があるのか?や、人数比も気にしてほしい。 25頁 2-2. 当事者の声 (4) 言葉だけではなく、年齢及び発達段階に応じて、その意思(思いや願い)が多様な形で表れ、受け止める側も聴くための工夫が特に必要な乳幼児 @ 意見を言う相手 (質問者) 知らない人たちが来たら緊張する? (乳幼児) ・ちょっと緊張する。 (乳幼児) ・初めての人と会った時もお友達がいたら緊張しない。 (質問者) 困っているみんなをどうしたら助けてあげられるかって聞かれたら、自分のきもちを言える? (乳幼児) ・こわい。緊張する。 (質問者) 保育園の先生が一緒にいたら緊張しない? (乳幼児) ・うん。 (乳幼児) ・先生は優しくしてくれたから緊張しなくなった。 (乳幼児) ・新しい人が来たら悪いことしないかなって緊張しちゃう。いい人だったら怖くない。 26頁 Aその他 (質問者) どんなまちだったら素敵なまちかな、住んでみたいと思うかな?  (乳幼児) ・自由がいい。 (乳幼児) ・なんでもできるのがいい。 (乳幼児) ・死んでもまた同じ学年で復活できる。 (質問者) すごいな。やりなおせるってこと? (乳幼児) ・車でぶつかっても死なないまち。 (質問者) どうしたら危険がないまちになりそう? (乳幼児) ・火事になったときにロボット式消火器があればいい。 (乳幼児) ・どらえもんがいたらいい。 (乳幼児) ・危ないものがないまち。 27頁 2-3. 属性に共通する大事なこと 調査をもとに、声を聴かれにくいこども・若者の意見を聴くために大事なことを整理しました。 <こども・若者の意見を聴き、政策に反映するための一般的なサイクル> 下図は、こども・若者の意見を聴き、政策に反映するための一般的なサイクルです。このサイクルに沿って、「声を聴かれにくいこども・若者」の意見を聴くために大事なことを、以降に記載しています。 こども・若者の意見を聴き、政策に反映するための一般的なサイクル図 サイクル1. 企画  - 意見を聴く対象を検討する  - テーマを設定する  - 安全・安心を確保する  - 実施体制を作る サイクル2. 事前準備  - 参加者を募集する  - 意見を聴くための準備をする サイクル3. 意見を聴く  - 聴く側の姿勢や体制を整え、意見を伝えやすい工夫や配慮を行う  - 意見を表明する選択肢を用意する  - 振り返りをする サイクル4. 反映  - 聴いた意見を受け止めどう反映するか検討する サイクル5. フィードバック  - 聴いた意見がどのように扱われたのか説明する フィードバックを活かし、サイクル1. に戻り、スパイラルに繰り返す こども・若者の意見を聴き、政策に反映するための一般的なサイクル図終わり 「サイクル全般でのポイント」 (1) 聴く側の姿勢・心構え 以下の5つのポイントを述べる。 製作者注:説明のため、ポイントに番号を付与する。:注終わり 1.「こども基本法、こどもの権利条約を正しく理解すること」 2.「バイアス(偏見)を持たないこと」 3.「意見を聴く目的、当事者にとっての意味を伝える」 4.「こども・若者本人を尊重し、感謝の気持ちを持つ」 5.「成果に囚われすぎない」 1.「こども基本法、こどもの権利条約を正しく理解すること」 ・聴く側が、こども基本法、児童の権利に関する条約(ここでは「こどもの権利条約」という)とそのいわゆる4つの原則(「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」)について正しく理解する。こどもにとって最も良いことを考え、 「大人の視点で考えた最善」に偏らず、どのように意見聴取をしたらよいか、こどもと話し合って決めることが大事である。 28頁 2.「バイアス(偏見)を持たないこと」 ・「 こどもとはこういうものである」という決めつけをせず、「こどもは大人に比べて正しい意見を言えない」という偏見を持たないこと 。 ・困難な状況にあるこども・若者を「かわいそうな人」という先入観をもってみるのではなく、一人の人間として尊重することが大事。 3.「意見を聴く目的、当事者にとっての意味を伝える」 ・意見を「聴き出す」のではなく、何のために意見を聴くのかや、本人や社会にとっての意義を伝える。 4.「こども・若者本人を尊重し、感謝の気持ちを持つ」 ・意見を聴くときには、こども・若者本人を尊重し、「感謝の気持ち」を持つことが大切。 ・属性に対する固定観念を取り払い、一人ひとりのこどもの気持ちや考えに応じて、できるだけのことは対応するという姿勢が大切である。 【意見を聴くときの姿勢の例】 - 困難な状況にあるこども・若者に対しても、「かわいそう」という姿勢ではなく常にフラットな姿勢、社会を構成している一人の人間として向き合う。 - まとまった「意見」という形でなくても、こども・若者が普段どんなことで困っているのか、どんな気持ちを伝えたいのかを率直に伝えてほしいということを伝える。 【意見を聴くときの姿勢の例】終わり 5.「成果に囚われすぎない」 ・意見を聴く時間の制約がある中でも「こどもが話したいことを聴く、受け止める」姿勢が大切である。 ・こども・若者は学校等において大人が期待する答えを言う場面に慣れているため、本音を聴くためには、聴く側の期待する答えを言わなくてはいけないような雰囲気にしないことが大切である。 「サイクル全般でのポイント」終わり 29頁 2-3. 属性に共通する大事なこと:企画する (2) 意見聴取の場の企画・設計 以下の4つについて、述べる。 @基本的な考え方 A体制 B場所・環境 C「インクルーシブ」な場で聴く場合の留意事項 @ 基本的な考え方 個別のこどもに応じた配慮をする ・この属性の子には、「これさえ行えばよい」という線引きはない。意見が聴かれにくい属性の当事者だけでなく、どのこどもにとっても常に「最善の意見を聴く場」となるように、どのような環境を整備すればよいかを考えることが大事。 A 体制 支援者と十分に連携する ・当事者のこども・若者の困難な状況について、よく理解している支援者や当事者が信頼している人が、そばにいると、安心できる。 ・ただし、実際に意見を聴く時に同席してほしいかどうかは、その当事者によって違うため、必ず確認をすること。 圧迫感がなく自由な対話の場であることが伝わる環境づくり ・聴く側(大人)の人数は、多すぎない方が良い。 ・服装は、聴く側も参加するこども・若者も自由であり、多様性を認めること。(スーツだらけはNG) 共通の理解の下で対話ができる環境 ・個別かグループかは、意見を聴くテーマにもよるが、グループの場合は、こども・若者の誰もが「自分がここにいてもいいんだ」というような気持ちになる環境づくりをすること。 B 場所・環境 安全・安心であること 【安全・安心な環境の例】 ・自分の話や個人情報が、勝手に誰かに伝わらない。 ・グランドルールや意見を聴く目的、聴く人などの情報を十分に伝えている。 ・毎回人が入れ替わるのではなく、特定の人が普段から関係をつくり、信頼関係をつくることが望ましい。 30頁 C 「インクルーシブ」な場で聴く場合の留意事項 言葉の説明 インクルーシブとは、  元々は「包み込む」という意味で、多様性を認め合い、違いを受け入れ合うことをいいます 。 言葉の説明終わり 当事者が参加しやすい状況から始める ・多様なこどもたちにあわせてどういった場が必要か考え、当事者が安心して「参加してみたい」と思ってもらえるような工夫が必要。 【例えば、次のような状況から回数を重ね、徐々にインクルーシブな場をつくることも一つの方法】 ・参加者に当事者と似た境遇の人の方が多い環境(数的有利な状況)から始める 。 ・支援者や当事者が信頼している人を交えた環境を用意する。 インクルーシブな場が既に形成されている場所で実施する ・無理に「意見が聴かれにくいこども・若者」を参画させようとせず、既にインクルーシブな場が形成されている場所に出向き、ヒアリングを実施することが現実的 。 【既にインクルーシブな場が形成されている例】 ・児童館 ・こども食堂 ・青少年交流施設 ・色々な人が集まる居場所 31頁 2-3. 属性に共通する大事なこと:事前に準備する (3) 参加者の募集・準備 以下の4つについて、述べる。 @こどもへのアクセス A募集・告知の工夫 B意見を聴くこども・若者の決めかた C事前準備 @ こどもへのアクセス こども達にとって身近なチャネルの利用 【アクセス方法例】 ・SNS やオンラインゲームのチャット等 ・学校や教育委員会との連携 ・支援団体や居場所等(フリースクール、通信制高校、学習支援教室、こども食堂、国際交流協会、日本語教室、LGBTQ 支援団体など )との連携 A 募集・告知の工夫 誰でも参画してよい場、安心して参加できる場であると、情報をオープンにする 【募集・告知の工夫の例】 ・チラシの工夫をする(こどもの肌の色、髪の毛色、車いすのこどもなど、多様なイラストを用いる) ・障害の対応の可否を示す ・グランドルールを示す ・意見を聴く人の情報(写真、経歴など)を示す ・保護者の同意の要否を示す など B 意見を聴くこども・若者の決めかた こども・若者の状況や環境を十分に考慮する ・公募だけでは参加が難しい。支援者(当事者団体や施設など)を通じて声掛けし、こども・若者の存在を認識してもらうなどの工夫をする 。 ・困難の渦中にいるこども・若者に聴くのは難しい場合があることに留意する。本人の置かれた状況の深刻さを加味する必要がある。 ・時間や予算の制約の中で効果的な意見聴取を行うために、意見を持っているこども、意見表明をしやすいこどもを対象とすることも一つの方法だが、そうした取組を入り口に、声なき声を拾うために取組を広げていくことが大切。 C 事前準備 当事者のことをよく知り、安全・安心に意見を言えるための準備をする 【事前準備の例】 ・当事者にとっての危険信号、NG ワードなど、必要な配慮やどのような場所、手法が良いか、当事者の状況に詳しい人(当事者本人や協力団体、支援者)に聞いてみる。 ・こどもの権利に関する研修や当事者の属性に応じた研修を受けるなど、聴く側のスキル向上を行う 。 32頁 2-3. 属性に共通する大事なこと:意見を聴く・フィードバックする (4) 意見聴取の場での対話の仕方 以下の5つについて、述べる。 @対話の手段・声を聴く方法 A代弁の在り方 Bこども・若者への不適切行為や権利侵害を発見したとき、悩みの相談を受けたとき C事後のフォロー Dフィードバック @ 対話の手段・声を聴く方法 多様な選択肢を用意すること ・どの手法・どの場所がよいとは一概に言えない。当事者の状況や特性に応じて、様々な形で意見を伝えることができる環境を用意すべき。 (プライバシーを守れるかどうか、家庭環境に沿うかどうかなどに配慮) 【多様な選択肢の例】 - 普段なじみのある居場所への訪問(個別、グループ) - SNSのチャットなどを使ったやり取り - ZOOMなどのオンライン - 手紙 - アンケート、質問箱(匿名) - GIGAスクール端末を利用した方法 など 答えを誘導しない ・誘導にならないように、できる限りオープンな質問を意識する 。 ・答えを誘導するような聴き方は避ける。  (「なになにだよね? / でしょ? / じゃない?」 など) A 代弁の在り方 本人中心。あくまで意見表明の補助とすべき ・本人がうまく伝えられないときに、必要に応じて補助する、発言を整理するような代弁が必要な場合がある。 ・当事者本人の意思を尊重して代弁の必要性を考えることが重要。意見の押しつけや誘導をしてはならない。 ・何も喋らないことや沈黙にも意味があるため、注意が必要 。 意見を集約して伝えることで、一人ひとりの意見に力を持たせることができる ・こどもや若者は、自分一人の声なんて大したことない、と思いがち。  それを集約してそのこども政策の担当者に伝えることに意味がある 。 33頁 B こども・若者への不適切行為や権利侵害を発見したとき、悩みの相談を受けたとき できないこと(責任範囲)を明確にしつつ、責任を持って対応すること ・一人で対応せず、関係機関と連携することが必要 (特に、虐待の通告義務) ・ただし、本人の気持ちをだいじにすべきであり、話を聴いている者自身が悩みの解消のための支援を直接行うことは難しい場合は、そのことを事前に説明したうえで、解決のための選択肢を示し、こどもの意思を確認することが大切。 C 事後のフォロー 補足・訂正・取り消しの機会を確保する ・「言い忘れ」や「後から発言を取り消したい」、「誤解があった」などの時に、こどもから連絡できるようしておく。 ・「つらいことがあったら遠慮なく連絡してください」と伝えておくとよい。 ・訂正や取り消しの確認依頼・受付などは、意見を聴いた人が行うだけではなく、協力団体や支援者に頼んで行うこともできる。その際は、こども・若者の意見が、本人の意思に反して他者に知られないように留意する。 D フィードバック わかりやすく、個々に応じた方法で結果をフィードバックする ・「意見を受けとめたこと」を伝えるとともに、「勇気をもって話してくれたこと」に対して感謝を伝えることが大切。 ・フィードバックの内容は、「聴取内容の確認」、「聴取結果の活用方針の説明」、「聴取結果の反映検討状況や反映是非の報告」、「反映できない場合の理由の説明」が望ましい。 ・フィードバックは、誰もが「わかりやすい表現」で行うとともに、必要に応じて本人や支援者に適切な方法を確認する。 34頁 2-3. 属性に共通する大事なこと:政策に反映する (5) 政策反映につなげるための意見聴取の課題や工夫 こども・若者、聴く側のお互いの学びを深める ・こども・若者も、意見を聴く側も「こどもには意見表明する権利がある」ということや、こども・若者と関係のある政策について、お互いに学びを深めることが重要。 ・意見を聴く政策担当者も、「どの政策もこどもの権利と関係がある」ということを意識し、関係者に伝えることが必要。 意見を聴くタイミング、こども・若者に期待する役割 ・行政内ですべて考えてから意見を聴くのではなく、施策を考えるとき、悩んでいるときに、まず当事者から話を聞くという発想(取組)が必要。 ・大人が考えたテーマや質問にただ答えさせるような形で政策立案のためのアリバイ作りのようにしてはいけない 。 政策反映のための工夫 ・身近な課題や困りごとなど、答えやすいことを入口に、「なぜそのような問題があるのか?」「どうしたらうまくいくと思う?」と深掘りして聴いていくとよい。 ・一律の調査項目ではなく、当事者や支援者の声から何を調査すべきか決めたり、まずは対話で定性的な声を拾ったうえで、それが量的ニーズとしてどうなのかを定量的に検証する等のサイクルが有効。 35頁 2-4. 属性別に気を付けるべきこと (1) 学校、地域、生活の場などを通じて情報や参画機会を提供することが困難なこども・若者 「どこにも居場所がないこども・若者」、「困難な状況にあることを自認していないこども・若者」への対応が存在することを認識 ・基本的には、第三の居場所や支援団体などに繋がっているこども・若者を通じた意見聴取が考えられるが、「どこにも居場所がないこども」に意見を聴くことも大切で、そういった存在も意識することが必要である。 困難な状況を理解してもらえ、本音を言える安心な環境の提供が必要 ・ヒアリングで同席する人を良く考えることが重要。例えば、当事者が信頼している人や当事者と似た経験のある人がいることで安心な環境、本音を言いやすい環境づくりができる。 ・言葉の選び方にも注意が必要で、例えば、アクセスが難しい地域について、「あまり発展していない」や「田舎」といった表現を使うことで傷つくこども・若者がいるかもしれないと認識する。 36頁 2-4. 属性別に気を付けるべきこと (2) 意見表明の手法の選択肢が限られていることから受け止める側も聴くための工夫が特に必要なこども・若者 表出していなくても、意見を持っているという認識を持つ ・意見が表出していないからといって、意見がないわけではない。 ・意見を聴く際には、どんなこども・若者にも意思があることを意識する必要がある。意見の表出が上手くできなかったり、意見を伝えることに時間がかかるかもしれないことを理解し、必要なのは聴く側の工夫や配慮であることを認識したうえで、意見表出のサポートや時間をかけて向き合うことが重要。 ・言葉だけが表現の全てではないことを認識し、表情や身振り手振り、沈黙など、あらゆる意見の表出を受け止める準備が必要。 どの程度意見の表出ができるかを把握し、適切な準備やサポートを行うが必要がある ・体制や配慮を検討するためには、「どの程度意志の表出ができるか」について予め把握したうえで検討する。 ・安全・安心な環境にするためには、当事者の特性を予め把握し、どのような配慮を要するかを確認する必要がある。 言葉による意見表明ができない場合、適切な代弁で補完する ・障害などで言葉による表現が十分にできないこども・若者の場合、適切な代弁で補完する。ただし、当事者本人の意思を尊重して代弁の必要性を考えることが重要である。少なくとも、意見の押しつけや誘導、本人に意思を確認せず意見を想像することはしてはならない。 37頁 2-4. 属性別に気を付けるべきこと (3) 意見を言うことが安全・安心でないなど、意見を言う環境に特別な配慮や工夫が必要なこども・若者 意見を聴く場が安全・安心であるために、寄り添う姿勢が重要 ・意見を聴く場が安全・安心であるためには、意見を聴く目的や聴いた意見をどう使うのかを伝え、「あなたの意見を生かしたい」「できるだけあなたのためにもなると思っているので、協力してほしい」という気持ちを示すことが大事である。 信頼できる人がいること、信頼できる人に聴かれること ・意見を言うことが安全・安心でないと感じるこども・若者にとっては、相手との信頼関係がとても大切である。意見を聴く際には、何度か対話を繰り返し、信頼関係を築いたうえで行うことが望ましいのはもちろん、本人の意向に応じて、信頼できる人や支援者が同席している環境を用意することが必要である。 匿名性や秘密が守られることが重要 ・「誰に参加を知られるか」「言ったことが誰に知られるか」に注意を払う必要がある(他の参加者や家族へのアウティングに配慮、参加の際に保護者の同意の要否など)。 権利侵害の経験に対する十分な配慮、話すことによる心理的負担や権利侵害等への対応・連携体制を整える 言葉の説明 権利侵害とは、  人が持っているさまざまな権利を他者が侵すこと。こどもの権利に関しては、プライバシーや名誉を傷つけたり、差別的な対応をしたり、虐待したりすることなどが含まれる 。 言葉の説明終わり ・意見を聴くときに、参加者が権利侵害を受けた経験などを話す場面も想定されるため、配慮が必要。 ・こども・若者への不適切行為や権利侵害を発見したとき、悩みの相談を受けたときに、適切な相談機関にきちんとつなぎ、どこの相談機関がどういうことをしているのかを本人に説明すること、必要に応じて支援機関への相談をサポートすることが大切。 38頁 2-4. 属性別に気を付けるべきこと (4) 言葉だけではなく、年齢及び発達段階に応じて、その意思(思いや願い)が多様な形で表れ、受け止める側も聴くための工夫が特に必要な乳幼児 乳幼児をひとりの人間として尊重し、意見を言えないと決めつけないこと ・乳幼児は、大人が思っている以上に様々なことを理解していることが多いが、その表現は幼いため、大人は「まだわからない」と判断してしまいがち。乳幼児だから話してもわからないだろう、乳幼児だから大した意見を持っていないだろう、という先入観を取り払い、ひとりの人間として見ることが必要。 ・意見を言う際に、考えがまとまらなかったり、言葉として表現するのに時間がかかったりしてしまうことがあるが、大人が答えを誘導してしまわないように、「待つ」ことが重要。 日常の場面であらわれる様々な表現をだいじにし、受け止める ・乳幼児は、言葉による表現だけでなく、自らの動きや音、環境への反応などによって自分の声(意思)を表現することが多いため、非言語的なコミュニケーションを観察し、意思を読み取ることが重要である。 ・また、声に出していることと考えていることが異なる可能性についても留意する。 乳幼児が生きている時間軸や身近な内容に寄せて考える ・乳幼児は、先のことを考えて意見できるわけではないため、意見を聴けたとしても、その意見がすぐに変わるかもしれないという前提で意見を聴く。 ・乳幼児は、国や自治体といった機構、社会の仕組みやルールという概念を認識するのは難しいため、地域課題や都市計画の話であれば「まち」、環境問題の話であれば「花」など、乳幼児にとって身近な内容に寄せて、問いかけをし、意見を求める必要がある 。 意見反映・参画体験の積み重ねが大切 ・乳幼児の意見表明の機会を増やし、意見表明や参画の経験を積み重ねていくことによって、意見を言う力が備わり、意見を言いたいという気持ちが醸成されていくことが期待できる。 ・意見を受け止める側も、意見を聴く取組を積み重ねることによって、ノウハウや知見を蓄積していくことが望まれる。 39頁 タイトルページ 3.今後の課題 - 国や自治体が取り組むべきこと タイトルページ終わり 40頁 5つの課題 ・本調査を通じて、 「声をあげにくいこども・若者」の意見を聴き、政策に反映するための工夫や配慮について整理することができたが、今後、国や自治体が多様なこどもや若者の意見を聴き、政策に反映していくためには、以下の5つの課題に取り組みながら、進めていくことが必要です。 @ 多様性確保を形式だけで終わらせずに、こども・若者1人ひとりの特性や状況に沿った対応が必要であることを認識する A 意見を聴く側が「知識」を深めつつ、当事者と関係性を構築している支援者等との連携を深める B 意見を伝える・聴くことを文化として根付かせるため、社会全体で努力すること C 声を聴かれにくいこどもへのリーチは、現状では不十分なので、関係機関とも連携しながら、継続的にリーチ範囲の拡大に努めること D 今回の調査で声を聴かれにくいこども・若者の意見聴取手法について一定のヒントは得られたが、有効な意見聴取手法が確立できているわけではないため、実践も経ながら今後も研究すること 41頁 タイトルページ (参考) 〜調査にご協力いただいた皆様〜 タイトルページ終わり 42頁 調査にご協力いただいた皆様 - その1 - こども・若者に詳しい有識者、団体や個人として様々なこども・若者の支援をおこなっている支援者、合計20名にヒアリングを実施しました。 @ 学校、地域、生活の場などを通じて情報や参画機会を提供することが困難なこども・若者   不登校のこども      石川 悦子 : こども教育宝仙大学 こども教育学部長 教授      井利 由利 : 公益社団法人青少年健康センター 茗荷谷クラブ チーフスタッフ   中退した若者      青砥 恭 : NPO 法人さいたまユースサポートネット 理事   ヤングケアラー      澁谷 智子 : 成蹊大学 文学部 現代社会学科 教授      中道 慶恵 : 元当事者      宮崎 成悟 : 一般社団法人ヤングケアラー協会 代表理事      小林 鮎 : 一般社団法人ヤングケアラー協会 看護師兼公認心理師 A 意見表明の手法の選択肢が限られていることから受け止める側も聞くための工夫が特に必要なこども・若者   障害児      相澤 仁 : 大分大学福祉健康科学部 福祉健康科学科 教授   医療てきケア児      福満 美穂子 : NPO 法人なかのドリーム 理事      松丸 実奈 : NPO 法人にこり 理事長   外国人のこども・若者      嶋田 和子 : アクラス日本語教育研究所 代表理事 B 意見を言うことが安全・安心でないなど、意見を言う環境に特別な配慮や工夫が必要なこども・若者   社会的養護を必要とするこども、ケアリーバー/ 生活困窮世帯のこども・若者/   虐待を受ける、または受けたことがあるこども・若者      長瀬 正子 : 佛教大学社会福祉学部 准教授      齊田 由美 : ちばアフターケアネットワークステーション 相談員      竹田 明子 : 京都市ユースサービス協会   性的マイノリティのこども・若者      岩本 健良 : 金沢大学 人間社会研究域 人文学系 准教授      遠藤 まめた : 一般社団法人にじーず 代表   いじめを受ける、または受けたことがあるこども      石川 悦子 : こども教育宝仙大学 こども教育学部長 教授      井利 由利 : 公益社団法人青少年健康センター 茗荷谷クラブ チーフスタッフ C 乳幼児期のこども(0さい、概ね1歳〜3歳未満の幼児、概ね3歳以上の幼児)   乳幼児期のこども(0さい、概ね1歳〜3歳未満の幼児、概ね3歳以上の幼児)      伊藤 唯道 : 社会福祉法人 順正寺福祉会 順正寺こども園 園長      本田 智秋 : 社会福祉法人 順正寺福祉会 順正寺こども園 職員      曽木 書代 : 陽だまりの丘保育園 園長 声を聴かれにくいこども・若者(カテゴリーに捉われずヒアリング)      間宮 静香 : 緑オリーブ法律事務所 弁護士 43頁 調査にご協力いただいた皆様 - その2 - 当事者であるこども・若者28名にヒアリングを実施しました。 なお、こども・若者が抱える困難の要因は複合的であるため、参加者の中には、複数の属性としての意見を聴くことができた場合もある 。 @ 学校、地域、生活の場などを通じて情報や参画機会を提供することが困難なこども・若者   不登校のこども/ いじめを受ける、または受けたことがあるこども      ぽくるーむ : グループA ( 年齢不詳 1名 / 20代後半 1名 )             グループB ( 小学生 1名 / 中学生 1名 / 20代後半 1名)   中退した若者      さいたまユースサポートネット(若者自立支援ルーム): 20代前半 1名 / 20代前半 1名   ヤングケアラー      一般社団法人ヤングケアラー協会: 20代前半 1名/ 20代後半 1名/ 高校生世代 1名   アクセスの難しい地域に住むこども・若者: 高校生世代 1名 A 意見表明の手法の選択肢が限られていることから受け止める側も聞くための工夫が特に必要なこども・若者   障害児      社会福祉法人麦の子会: 小学生 1名 / 中学生 1名   医療てきケア児      はぐむのあかりクリニック、にこりステーション、NPO 法人にこりの訪問診療先のご家族       : 8 歳 1名/ 6 歳 1名/ 9 歳 2 名   外国人のこども・若者      一般財団法人 杉並区交流協会: 中学生 1名 / 中学生 1名 B 意見を言うことが安全・安心でないなど、意見を言う環境に特別な配慮や工夫が必要なこども・若者   社会的養護を必要とするこども、ケアリーバー      社会福祉法人生活クラブ( ちばアフターケアステーション) : 20代前半 1名   性的マイノリティのこども・若者      一般社団法人にじーず : 高校生世代 1名/ 高校生世代 1名/ 職員 1名(当事者) C 乳幼児期のこども(0さい、概ね1歳〜3歳未満の幼児、概ね3歳以上の幼児)   乳幼児期のこども(0さい、概ね1歳〜3歳未満の幼児、概ね3歳以上の幼児)      社会福祉法人龍美(陽だまりの丘保育園) : 幼児(5 歳) 6 名 44頁 奥付 多様なこども・若者の意見反映 プロセスの在り方に関する調査研究 〜声を聴かれにくいこども・若者の意見を聴き、政策に反映するために〜 発行      こども家庭庁         住所:〒100-6090         東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング14階・20階・21階・22階         電話番号:03-6771-8030(代表)         法人番号:7000012010039 発行日     2024年 3月 制作      株式会社NTTデータ経営研究所 編集・デザイン ニアカリ合同会社 ●調査研究報告書掲載ページ https://www.cfa.go.jp/policies/iken/guideline/ 奥付終わり 参考資料2終わり